ファウチ所長、ロシア承認のワクチンに「重大な疑念」
(CNN) トランプ米政権の新型コロナウイルス対策チームを率いる1人である国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は、ロシアが11日に正式承認したワクチンについて、安全性と効果の観点から重大な疑念を抱いているとの認識を示した。
米ABCニュースのインタビューに答えたファウチ氏は「ロシアが実際かつ決定的にワクチンの安全性と効果を証明していればよいが、それを果たしたかどうかについては重大な疑念を抱いている」と述べた。インタビューは米誌「ナショナル・ジオグラフィック」のイベントとして13日に放送予定だが、同誌が11日にその一部を公開した。
ファウチ氏はさらに、ワクチンを手に入れることとそれが安全かつ有効であると証明することとは全く別の話だと強調。現時点で複数のワクチンが存在するものの、それを使うことで健康被害が出たり、効果がなかったりするのでは意味がないとの見方を示した。
そのうえで、米国ではワクチンの安全性と効果について一定の基準を設けていると説明した。ロシアのワクチン製造業者は、まだ臨床試験のデータを一切公開していないとも付け加えた。
世界保健機関(WHO)は、11日の声明でロシアの科学者や当局と連絡を取り、今後試験の詳細を検証する見通しであることを明らかにした。WHOによれば、現在世界中で28種類のワクチンが臨床試験の段階にあるという。