バイデン氏、ジョンソン氏にEU交渉妥結を要請 アイルランド国境問題で警鐘
ロンドン(CNN) 英国と欧州連合(EU)の将来関係をめぐる交渉が大詰めを迎えるなか、バイデン次期米大統領がジョンソン英首相に対し、EU離脱移行期間の終了後をにらんだ貿易協定を締結するよう要請を強めている。
バイデン氏は米デラウェア州で記者団の取材に応じ、ジョンソン氏やアイルランドの首相、フランス政府などと会談したと説明。EU加盟国であるアイルランドと、英国の一部としてEUから離脱した北アイルランドの間に国境警備を復活させることへの反対を表明した。
バイデン氏は「南北アイルランドの国境を再び閉ざすという考え方は正しくない」と述べ、「国境を開いたままにする」ことが全関係者の責務だとしている。
英国は今年1月31日にEUを離脱し、現在は移行期間にある。移行期間は正式な貿易協定の有無にかかわらず12月31日で終了する。
英国とEUは昨年、アイルランド国境を開いたままにすることを定めた離脱協定案で合意したものの、将来関係を巡る交渉がまとまらなかった場合、厳格な国境管理が復活する可能性がかねて指摘されてきた。
移行期間終了後に国境施設が荒らされたり、税関職員が襲撃を受けたりする事態となれば、国境警備を導入する必要性が出てくる。そうなれば、30年あまりで3500人以上の犠牲者を出した宗派紛争に後戻りしかねないとの懸念が根強い。
アイランド紛争に一応の終止符を打った1998年の「グッドフライデー合意」の交渉では、クリントン元大統領を含め民主・共和両党の米大統領が大きな役割を果たした。
バイデン氏も以前からこの問題に言及し、9月にはツイッターで「北アイルランドに和平をもたらしたグッドフライデー合意を英EU離脱の犠牲にするわけにはいかない」と述べていた。