ペロシ氏、国防長官代行に書簡 トランプ派の要職就任中止を要請
ワシントン(CNN) 米民主党のペロシ下院議長がミラー国防長官代行に対し、トランプ大統領に忠実な人物を国家安全保障局(NSA)の法務顧問に就任させる計画を「直ちに中止」するよう要求していることが19日までに分かった。当該の人事には「極めて不審」な点があり、米国の安全保障を度外視した不穏当なものだと主張している。
ペロシ氏は17日、ミラー氏に書簡を送り、「マイケル・エリス氏を新たなNSAの法務顧問として不適切に就任させる計画を直ちに中止」するよう要求。また法務顧問の選定手続きがどのような状況で行われているのかを国防総省の監察官代行に調査させることも求めた。
書簡によると、エリス氏の選出は昨年の大統領選の直後に行われた。政権の移行を3日後に控えるぎりぎりのタイミングまで法務顧問就任を目指す動きは「極めて不審」であり、新政権立ち上げに際して高度な機密情報を扱う部署にエリス氏を「潜り込ませる」のは我が国の安全保障を度外視するものだとしている。
ペロシ氏が書簡を送った同日、NSAはエリス氏を法務顧問に就任させると発表。ミラー国防長官代行がNSAのナカソネ局長に就任の実施を命じていた。
エリス氏は共和党のデビン・ニューネス下院議員の下で働いた後、国家安全保障会議(NSC)に加わった。エリス氏の法務顧問就任に対しては、民主党のマーク・ワーナー上院議員とジャック・リード上院議員も反対を表明している。
米国最大の情報機関であるNSAの法務顧問は公務に従事する役職であり、政治的な役割を負うものではない。このためエリス氏が就任すれば、バイデン政権がこれを解任するのは困難になる可能性がある。
ペロシ氏は選定手続きに「不規則な点」があったと指摘。書簡の中でエリス氏について法科大学院を卒業して比較的日が浅く、経歴も限られたものにとどまるとの見方を示した。そのうえで選定にはホワイトハウスが介入し、はるかに適格な候補を差し置いてエリス氏が選ばれたと主張した。
国防総省は17日に声明を出し、NSAの法務顧問を選出する権限を有するのは同省の法務顧問のみだと強調。特定の人材登用をめぐる議会やメディアの関心は能力主義の原則の下で正当化されない点を明確にするとした。また、すでに選定され資格を満たした個人の役職への配置を遅らせる一連の行為についても同様だと付け加えた。