米国防総省、5月までのアフガン撤収約束せず タリバーンの合意不順守を理由に
(CNN) 米国防総省は28日、アフガニスタン駐留米軍を5月までに完全撤収するかどうかは約束しないとの方針を示した。アフガンの反政府勢力タリバーンが米国との和平合意で結んだ約束を順守していないためとしている。
アフガン和平合意はトランプ前政権が交渉を進め、昨年2月に署名に至った。タリバーンに暴力削減やテロ組織との関係断絶などを求める内容で、条件が満たされれば、米国は今年5月までにアフガンから撤収する。アフガン駐留米軍の規模はトランプ前大統領退任の数日前に2500人に削減された。
国防総省のカービー報道官は記者会見で、「タリバーンは約束を履行していない」と指摘。タリバーン側がテロの放棄や、アフガン治安部隊および国民に対する攻撃の停止といった約束を実行しない限り、和平実現への具体的な道筋を見通すことは非常に難しいと述べた。
カービー氏によると、米国は引き続き、タリバーンとアフガン政府の交渉による和平実現に向けて取り組む方針だという。
これに先立ち、ブリンケン国務長官も同日、アフガンのガニ大統領との会談で「和平プロセスに対する強固な外交支援」に言及。和平プロセスでは「持続的かつ公正な政治解決や、全てのアフガン国民の利益となる恒久的かつ包括的な停戦を実現できるよう、紛争当事者を支援することに重点を置く」とした。
タリバーンとアフガン政府の交渉は昨年9月に始まったが、進捗(しんちょく)は鈍い。双方は12月に交渉のルールと手続きについて合意した後、中断を挟んで今年1月上旬から交渉を再開している。