学生が7600万円の負債抱えたと思い込み自殺、ネット証券会社を遺族が提訴 米

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学生がネット証券で負債抱えたと思い込み自殺、遺族が提訴

ニューヨーク(CNN Business) 米ネット証券のロビンフッドが、昨年6月に起きた20歳の大学生の自殺に責任があるとして遺族から提訴されている。イリノイ州に住むこの学生は、自身のロビンフッドのトレーディング・アカウントに73万ドル(約7600万円)のマイナス残高が表示されているのを見た後、同額の負債を抱えたと思い込み、自ら命を絶ったとみられる。

自殺したアレクサンダー・カーンズさんの両親と姉妹は、ロビンフッドがカーンズさんのような経験の浅い投資家をそそのかし、オプション取引などの大きなリスクを伴う高度な金融商品を扱わせていたと非難した。カーンズさんはオプション取引を利用していたが、遺族は必要な顧客サポートも投資ガイダンスも提供されていなかったと訴えている。

カリフォルニア州の裁判所へ8日に提出された訴状には、「ロビンフッドの構築したトレーディング・プラットフォームはビデオゲームさながらの見た目で若いユーザーを引きつけ、現実世界のリスクの実態を最小化してしまう」と記されている。

自殺の件に加え、遺族らは訴状の中で、ロビンフッドが過失によって被害者に感情的なストレスをもたらしたと非難。ビジネス慣行も公平ではなかったとの見解を示した。原告が損害賠償として求める金額は後日確定する予定。

カーンズさんのアカウント画面に巨額の負債が表示されたのは、アプリに問題が発生してアップデートが遅れたためだった可能性があるという。いとこの証言によると、カーンズさんは自身のロビンフッドのアカウントを見て混乱したとする内容をノートに記していた。

「不幸にも、ロビンフッドからの伝達情報は完全に誤解を招くものだった。実際のところアレックスには全く借金がなかった」と、訴状は述べている。

今回の悲劇は手数料なしでの金融取引に潜む危険性を浮き彫りにする。この種の取引が流行するうえで、ロビンフッドは大きな役割を果たしている。

こうしたリスクは最近、ゲームソフト小売り大手「ゲームストップ」株の乱高下を受けて一気に膨れ上がった。掲示板サイト「レディット」のフォーラムに集まった投資家らが引き起こしたこの状況に対し、ロビンフッドはゲームストップを含む過熱銘柄の取引を一時的に制限。この措置には強い反発の声が噴出していた。

提訴を受けロビンフッドは声明を出し、オプション取引の提供に関して一連の改善を施したと説明。顧客を支援するガイドや購買力の画面表示のアップデート、オープンポジションの顧客との直接通話を通じたサポートの提供などの対策を講じたとした。

声明では「アレックス・カーンズ氏の死に打ちのめされた」「引き続きロビンフッドが責任ある投資の学びの場となるよう取り組んでいく」との文言が記された。

同社はまた、米国で自殺予防に取り組む団体へ25万ドルを提供する意向を表明している。

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