米下院が移民関連法案2本通過、ドリーマーに市民権取得の道 上院は難航予想
(CNN) 米下院は18日、2本の移民関連法案を可決した。民主党が上下両院の過半数を押さえてから、不法移民に市民権取得の道を開く法案の可決は初。
最初の採決では、民主党議員が提出した「2021年アメリカン・ドリーム・アンド・プロミス法案」が228対197の賛成多数で可決された。共和党からは9人が賛成に回った。
同法案は幼少期に親と米国に不法入国した若者「ドリーマー」や一時保護資格者、強制退去延期措置の対象者に市民権取得の道を開くもの。米シンクタンク「マイグラント・ポリシー・インスティテュート」によると、最大440万人の永住権資格につながるという。
次の採決では、超党派の議員が提出した「ファーム・ワークフォース・モダナイゼーション法案」が可決された。農業労働者やその配偶者、子どもに農業分野での継続雇用を通じて法的地位を与えるもので、既存の農業出稼ぎ労働者のプログラムに修正を加えるものとなる。
ペロシ下院議長は採決前、「我々が米国の美しい多様性を尊重し、また移民が常に米国を活性化させている事実を尊重している点で非常に大きな変化を生むことになる」と法案の意義を語った。
両法案とも昨年下院を通過していたが、民主党が上下両院を押さえた今、再度議決にかけられた。
ただ、上院通過は難航が予想される。共和党議員も巻き込んだ60人の賛成票が集まる見込みは非常に小さく、フィリバスター(議事妨害)が予想される。民主党ではフィリバスター回避のための検討が行われるが、実現する可能性は低そうだ。
また民主党の進歩派議員からは、より包括的な移民改革法案を求める声も出ている。一方、他の同党議員はそのような法案の通過は困難との見方を示している。
上院司法委員会のディック・ダービン委員長(民主党)は今週初めにCNNに対し、バイデン氏の移民政策の柱である1100万人の不法移民の市民権取得に向けた包括法案について、議会通過のための十分な支持がないと認識していると発言。「実現はしたい。個々の要素に対処していくやり方になりそうだと思う」と述べた。