CNN記者の記録を要求したトランプ前政権、数カ月にわたる秘密の法廷闘争
ワシントン(CNN) トランプ前米政権がCNNの記者の電子メール記録を得ようと半年間にわたりCNNと法廷闘争を繰り広げ、そうした手続きのすべてが秘匿を要求する異例の命令下で進められるべきだと主張していたことがわかった。CNNの法律顧問が9日、明らかにした。
当時のバー司法長官が取り仕切る司法省が記者の情報を要求したのは昨年7月で、国防総省を担当するバーバラ・スター記者の2017年6~7月の電子メール記録を対象としていた。連邦判事からスター記者の社内メール入手を求める同省の主張は「臆測」が強く「事実に基づいていない」と指摘されても、その試みを続けた。
CNNのデービッド・ビジランテ法律顧問は政府の動きについて、CNNの社長、親会社の幹部弁護士、外部法律事務所の弁護士以外に一切の情報を漏らしてはならないとの命令を受けた。今回、連邦判事が9日に訴訟の一部を公開したことで、初めて同氏が法廷闘争の詳細を打ち明けることができた。
メディア組織が司法省から記者の記録提出を求める召喚状を受け取り、記者を守るために交渉することは時々ある。だが今回異例だったのは、提出命令に関して完全な秘密が要求されたこと、法廷手続きが数カ月にも及んだこと、そしてトランプ政権の交渉に応じない姿勢だった。
秘密の命令
ビジランテ氏が司法省が情報を求めていると初めて知ったのは昨年7月17日だった。CNNに対し、会社のサーバーに保存されているスター記者の電子メール記録を提出するように求める連邦治安判事の秘密の命令を受け取ったときだった。
この命令は司法省がバージニア州の治安裁判所に提出した非公開の内容に基づくもので、スター記者が17年6~7月に送受信した電子メールの氏名と日付を求めていた。この命令に従うと3万通以上の電子メールの提出が必要となる。
こうした動きにバー司法長官がどのように関与していたかは不明だが、司法省では通例、検察官が長官を含む省内の最高位級の政治任用者にこうした動きを通知している。
この命令にはもう1つの指示があり、ビジランテ氏がCNNにも、スター記者本人にも、こうした要求の存在を明かしてはならないとの内容だった。これに違反すれば法廷侮辱や司法妨害に問われ重罪で訴追されるリスクがあった。ビジランテ氏は「こんな状況は経験したことがない」と語る。
すぐにワシントンを拠点とする3人の弁護士の助けを求め、弁護士はCNNのジェフ・ザッカー社長からも情報を得た。