バイデン氏とプーチン氏が初の首脳会談 5つのポイント
プーチン氏の調子は変わらず
プーチン氏は会談が「建設的だった」と認め、「双方が互いを理解し、立場を合わせようとする決意を示していたと思う」と述べた。
ただ、サイバー犯罪や人権、ウクライナの問題に関して問われると、いつも通りのあいまいで否定に満ちた姿勢を示した。
これは米当局者にとって何の驚きもない。当局者はバイデン氏が会談でプーチン氏の言葉や行動を魔法のように変えるとは思っていなかった。またこうした発言は、公の場では米国の懸念を無視する一方で、米国との関係深化を働きかけるプーチン氏の発言としても合わないものではなかった。
ただ、今回の会談で一つ違うのは、プーチン氏の姿が届く範囲だ。高い注目を浴びていた米国大統領との首脳会談で、彼の発言は世界中に伝わり、米国のテレビネットワークにも乗った。
プーチン氏の記者会見はバイデン氏の会見前に行われたため、バイデン氏はその多くの点で反論の機会を得た。ただ、プーチン氏の言葉は、重要な問題の存在すら認めない相手と対峙(たいじ)するバイデン氏が抱えている困難を浮き彫りにするものだった。
サイバー戦争
バイデン氏はプーチン氏との会談に臨むにあたり、サイバー攻撃、特に最近のロシア国内の犯罪集団によるランサムウェア(身代金ウイルス)を使った攻撃が主要なテーマになることを明確にしていた。
バイデン氏は、ロシアのような国は自国から発生するサイバー犯罪を抑え込む義務があると考えている。先ごろ行われた主要7カ国首脳会議(G7サミット)や北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でも、最終声明にバイデン氏の立場を支持する文言を含めるように各国首脳を説得した。
今回の会談の主要な、そして唯一の成果は、専門家に対し禁止事項に関する具体的な合意に向けた作業や、具体的な事件の追跡を指示する点で合意したことだった。
バイデン氏はこの合意の限界もわかっている様子で、「原則は一つだ。実行による裏打ちがなければならない」と述べた。
バイデン氏はプーチン氏に米国が「多大なサイバー能力」を有しており、さらなるサイバー攻撃には報復すると伝えた。
ただ、バイデン氏の問題提起はプーチン氏の口調にほとんど変化をもたらさなかった。プーチン氏は米パイプライン運営会社コロニアル・パイプラインへのサイバー攻撃に触れて、「ロシア当局がこれに何の関係があるというのか」と問いを投げかけた。
それでも、米当局者にとってこうした反応は驚きではない。米国側としては、サイバー犯罪が急速に発展する脅威となっており、バイデン氏がサイバー犯罪が招く明確な結果をロシア側に伝えることを目的としていた。