米国の平均余命が1歳超縮む、コロナ流行期に 人種間で大きな差
研究チームはまた、今回のパンデミック以前、ヒスパニック系の平均余命は黒人に比べて7年、白人に対して3年長かったとし、ヒスパニック系は新型コロナとの関係から平均余命で最大の落ち込みをみせたと指摘。
「前代未聞と言えるこの変化は、感染により多くさらされるということ、また感染者の中でも致死率がより高いということにつながる、社会的および経済的な不平等に由来する可能性が高い」と記している。
2人は今回の研究で、米疾病対策センター(CDC)および国勢調査局、全米人口動態統計システムのデータを利用。統計には米国における20年の新型コロナ感染症の死者数38万868人が算入されている。
2人はさらに今年も平均余命の縮小は続きそうな結果が出ていると言及。「21年4月の初めにかけて、すでに米国人平均余命は全体で21年は約0.6%の縮小を示しており、黒人及びヒスパニック系人口におけるアンバランスな変化は続いている」と指摘している。
英医学誌BMJに23日掲載された別の論文では、18~20年に米国の平均余命は1.9年縮み、他の高所得国の平均0.2年の8.5倍の縮小だったと指摘。次に縮小幅が大きかったのはスペインの1.1年だった。
論文の著者は「平均余命はじきにパンデミック前のレベルに戻るだろうが、過去のパンデミックから示されることは、生存者に生涯残る影響がある可能性があり、それらは年齢や社会経済的な条件によるということだ」と注意を促している。