アフガン撤退完了、混乱の責任めぐり米当局者同士が非難の応酬
ワシントン(CNN) 米軍のアフガニスタンからの撤退が公式に完了したのを受け、ホワイトハウスでは退避作戦を検証する困難なプロセスが始まっている。アフガン首都のカブールがイスラム主義勢力タリバンの手に落ちたため急ピッチで進めることを余儀なくされた同作戦は結果的に大混乱に陥り、多くの犠牲者を出した。
政権内部で行う検証作業について、サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は先月、作戦全体で起きたあらゆる事象を評価する意向を表明。改善の余地や対策の抜け穴などを洗い出して先へ進むと述べていた。
しかしホワイトハウスはすでに公式の非難という形で、大混乱を招いたとする多くの外部要因に言及している。その矛先はトランプ前大統領が昨年2月にタリバンと結んだ和平合意や、アフガン治安部隊などに向けられた。バイデン大統領と側近らは、同部隊が自分たちの国を守るために戦うのを拒否したと訴える。
非公式には、ホワイトハウスと国務省の当局者らから不満の声が上がる。彼らは多大な責任を負うべきなのは自分たちではなく情報部門に属する組織だと考えている。カブールがこれほど早く陥落するのを予測できなかったというのがその理由だ。
米国のアフガン和平担当特別代表を務めるザルメイ・ハリルザド氏への怒りを表明する当局者も多い。彼らによれば同氏の示す評価は実際よりも楽観的で、タリバンの真の意図をもっと現実的な観点から分析する必要があったという。
しかし情報機関の当局者や民主・共和両党の議員は、ホワイトハウスが情報部門をスケープゴートにしようとしていると反論。情報機関が厳しい評価を提示したにもかかわらず、国家安全保障会議(NSC)と国務省がそれを無視したと主張した。今年の春と夏に行われたこの評価では、アフガン政府がすぐにも崩壊しかねない状況にあると警告していた。さらに当局者らは、アフガニスタンでの駐留を継続したいという国防総省の要望をホワイトハウスが却下していたとも指摘。このやり取りがあったのは、バイデン氏が4月に撤退を発表する前だという。
上記のような非公式の非難合戦は、間もなく議員らの同席する公の場で繰り広げられることになる。今月始まる議会の公聴会では、政権による撤退の進め方が議題になる予定だ。
共和党議員らはすでにバイデン氏の危機対応を酷評しているが、公聴会は公の場でそうした批判を展開する機会となる。中間選挙を来年に控える中、下院軍事委員会の共和党トップを務めるマイク・ロジャース議員(アラバマ州選出)は先週CNNの取材に答え、「アフガニスタンで起きていることの全責任は、今のところジョー・バイデン氏ただ一人に帰する」との見解を示した。