施設入居者数百人が倉庫に避難、看護師が惨状語る ハリケーン被災地

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約850人の介護施設入居者が退避した倉庫の外に止まる救急車両/Chris Granger/AP

約850人の介護施設入居者が退避した倉庫の外に止まる救急車両/Chris Granger/AP

(CNN) 先月末に大型のハリケーン「アイダ」が直撃した米南部ルイジアナ州で、7カ所の介護施設から入居者合わせて約850人が避難した先は、劣悪な環境の倉庫だった――。施設に勤める看護師2人が9日までに、当時の状況をCNNに語った。

州保健当局によると、倉庫に避難していた数日間で入居者7人が死亡した。物資が不足し、電力供給がたびたび途絶える現場で、医療スタッフは患者の命を守ろうと奮闘した。

看護師の1人はメディアに話す権限がなく、職を失う恐れもあるとして、匿名を条件にCNNとのインタビューに臨んだ。

アイダ上陸前の先月27日早朝に施設の管理者から、スタッフと入居者を全員、同州インディペンデンスにある提携先の医療施設へ避難させるとの指示を受けたという。寝たきりの患者は救急車、車いすの患者はリフト付きバスを使い、動ける入居者は小型バスで移動した。

もう1人の看護師は、同州ホーマの施設に勤務するナタリー・ヘンダーソンさんだ。27日夜に上司から、別の施設へ避難すると連絡を受けた。移動先の倉庫はひどい状況で、極めて不衛生だったと話す。

CNNの調べによると、7施設と倉庫の経営責任者は同州バトンルージュのボブ・ディーン・ジュニア氏。CNN提携局の取材に対して、死者は6日間でわずか5人だったと強調し、通常は1日に2人ほど亡くなることを思えば「われわれのケアは実に手厚かった」と主張した。

2人の看護師によれば、入居者たちは倉庫で降ろされ、介護スタッフは30キロ以上離れたキャンプ場に泊まることになった。入居者は当初、大きな倉庫1棟と小さめの建物2棟に割り振られた。ところがハリケーンの大雨で一方の建物がひざの高さまで浸水し、翌日にはそちらの約60人をすでに満員だった倉庫へ運ぶことになった。

倉庫への移動を終えたところで停電が起きた。その後の数日間は大型の自家発電機が稼働し続けたが、照明とエアコン、壁のコンセントを同時にまかなえず、この3つが順にストップすると判明。そんなことになるとは、だれからも説明がなかった。窓のほとんどない倉庫の中が、たびたび真っ暗になった。

倉庫内は蒸し暑い。当初は扇風機が置いてあったものの、たびたびブレーカーが落ちる原因になっているとして撤去された。

中には高濃度酸素の吸入が必要な患者もいた。匿名の看護師によれば、患者の血中酸素濃度が落ちていることに巡回中のスタッフが気付き、急きょ酸素ボンベに切り替えたこともある。気付かなければ死に至っていたという。

酸素ボンベなど物資の供給は滞り、一部は完全に底をついた。何人かの患者は、ボンベがなくて病院へ搬送された。

CNNが入手した緊急通報電話の記録では、糖尿病患者の食事が用意できないとの理由で、倉庫から緊急搬送の要請が入っていた。

ヘンダーソンさんによると、食料や飲料水は全体を通して不足していた。患者は倉庫内に詰め込まれてスペースがなく、横になったまま食事していた。この姿勢ではのどを詰まらせる危険があったと、ヘンダーソンさんは指摘する。

宿泊先から通うスタッフが道路の冠水や倒木に阻まれ、何時間か立ち往生した例もある。ヘンダーソンさんはほかのスタッフと同様、倉庫の外に止めた車で眠るようになった。自分たちの食料も手に入らず、入居者らに自腹で買い与えることもあったという。

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