便器を盗みタイルは破壊、TikTokの新チャレンジが物議 米学校

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学校のトイレの備品を盗んだり破壊したりする行為が頻発しているが、SNSでの新しい流行が影響しているとみられている/KOSA

学校のトイレの備品を盗んだり破壊したりする行為が頻発しているが、SNSでの新しい流行が影響しているとみられている/KOSA

(CNN) 便器は盗まれ、床のタイルは粉々にされ、石けん入れは行方不明――。米国各地の学校のトイレでそんな破壊行為が目立っている。

動画アプリ「TikTok(ティックトック)」で最新の流行になりつつあるチャレンジの名称は「devious licks」。中学生や高校生、大学生がトイレを始めとする学校の備品を盗み、その結果をティックトック上に投稿するというものだ。

ティックトックは速やかに対応し、動画の多くをサイトから削除した。

現在、ティックトックのアプリで「devious licks」と検索すると、「結果は見つかりませんでした。この言葉は我々の指針に違反する行動やコンテンツに関連している可能性があります。安全で前向きな体験を促進することはTikTokの最優先課題です」などの文言が表示される。

ティックトックの広報担当はCNNに対し、「当社は我々のコミュニティーが安全を保ちながら、責任をもって創作することを期待する。犯罪行為を促したり可能にしたりするコンテンツは許容しない」と述べ、当該コンテンツを削除していることを明らかにした。ハッシュタグや検索結果については、こうした行為を控えるよう呼びかけるページにリダイレクトしているという。

学生らは他のプラットフォームでも動画を拡散している。

取材班がツイッターで検索をかけたところ、トイレの洗面台を盗む様子などを撮った動画が数多く表示された。

一部の時間帯でトイレを閉鎖する対応も

こうした行為に対し、一部の学校では1日の大部分の時間帯でトイレに施錠する対応を取っている。

さらなる破壊行為の防止を意図した対応だが、これが悪い結果をもたらす可能性もある。そう指摘するのは学校カウンセラーで、中学生の学校生活に関する著書があるフィリス・ファジェル氏だ。

ファジェル氏は「この手の行動に対処する管理者には多くの同情を覚える」としつつも、「一部の生徒の行為を理由に全員を罰すれば、不信感を生む可能性がある」と指摘する。

学生が好きなときにトイレを使用できるようにするのは敬意の印であり、「大人が子どもに敬意を示せば、子どもの方でも敬意を示さざるを得なくなる」という。

また、米シカゴで臨床心理士や家族療法士を務めるジョン・ダフィー氏は、一部の子どもは社交面の不安を抱えており、トイレを閉鎖すればそれが悪化しかねないとの見方を示した。

なぜ生徒は学校を破壊するのか?

20代や10代の若者は同調圧力に弱く、仲間内での自分の居場所を確立しようとすると、ファジェル氏は語る。

特に中学生は切実に承認を求めていて、仲間に溶け込むために衝動的な判断をする可能性がある。論理的思考をつかさどる脳の前頭前皮質が未発達なことから、衝動的な行動をより起こしやすいという。

ダフィー氏はここ1年、備品を壊したという複数の少年を学校から紹介された。トイレを壊した生徒の1人は、自分はやりたくなかったが同調圧力に負けてしまったと認めた。

親に何ができるのか

保護者は「devious licks」のようなSNS上のトレンドを把握しておくことが重要だ。そこでダフィー氏は保護者に対し、SNS上での習慣について子どもと話し合うよう勧めた。

もし親が自分の判断を押しつけなければ、子どもから最新のトレンドについて教えもらい、子どもが深刻な間違いを犯すのを防ぐ機会が得られるという。

子どもの問題解決能力は完全には発達していないことから、親がお手本になって子どもを導くべきだと、ファジェル氏は話している。

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