米軍制服組トップ、「重大な国際紛争の可能性」増大と指摘 議会証言
(CNN) 米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は5日、世界は不安定さを増しており、「重大な国際紛争が起きる可能性は減るどころか、むしろ増えている」との認識を示した。
ミリー氏はオースティン国防長官とともに下院軍事委員会に出席し、ロシアのウクライナ侵攻後初となる議会証言に臨んだ。国防総省を率いる両氏は中国とロシアの脅威は依然大きいと指摘するとともに、今回の戦争に対する米国の対応やウクライナへの武器供与を擁護した。
ミリー氏はロシアのウクライナ侵攻について、米軍で42年間働いてきた自身の経験では「欧州、そして恐らく世界の平和と安全保障にとって最大の脅威」だと指摘。「欧州の平和と安定のみならず、私の両親や一世代の米国人が懸命の戦いで守った世界の平和と安定を損なう恐れがある」との見解を示した。
また、いまの米国は中国とロシアという二大大国と対峙(たいじ)していると指摘。両国とも相当な軍事力を有し、ルールに基づく現在の世界秩序の根本的な変更を意図しているとの見解を示した。
公聴会では民主、共和両党の議員がウクライナに供与されている武器に焦点を当て、ウクライナが引き続き追加能力を求める中で米国にもっとできることはないかとの質問が相次いだ。
民主党のアダム・スミス下院軍事委員長は「この委員会で取り上げる最大の問いの一つは、『米国はどうしたらもっとできるか』というものだ」「ウクライナ支援のために可能な全ての手を講じるにはどうすればいいのか」と問いかけた。
共和党のマイク・ロジャース下院議員は、ロシア抑止を目的にポーランドやバルト諸国のような北大西洋条約機構(NATO)東部の国に恒久的な基地を設ける案を支持すると表明した。これに対し、ミリー氏は恒久基地の創設には賛成するが、家族の移動や学校の設立など恒久基地設置に伴うコストを負担せずに抑止力を生み出すには、ローテーション配備が望ましいとの考えを示した。