米軍の対戦車ミサイル、欠乏の危機に ウクライナへ大量供与で
(CNN) 米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は16日までに、ロシア軍が侵攻したウクライナへ対戦車ミサイル「ジャベリン」を大量に回したため、米軍が本来、備えるべき分が欠乏する危機に直面していることを明らかにした。
CSISで国際安全保障研究を担当する上級顧問が報告書で述べた。米軍向けの補充には今後数年間を要するとも分析した。
戦車などの装甲を貫通し、破壊する携行式の同ミサイルは米軍事企業のロッキード・マーチン、レイセオン両社が製造。発射された後、自ら標的へ向かう性能を持ち、射手が退避し、反撃をかわす時間的余裕が生じる利点も備える。
ウクライナではロシア軍の戦車の破壊に相当な効果を示しているともされる。侵攻が起きる前には、ロシア軍の戦車の戦力はウクライナ軍と比べ、圧倒的に優勢な立場にあるとの見方が強かった。
米軍が将来直面し得る紛争でも非常に有効な武器になるとも考えられている。これら紛争は北朝鮮、イランあるいはロシアとの間に想定され、米国は軍装備品の備蓄も進めている。ただ、手持ち分の量が低水準にあるのなら、軍事計画の立案者たちは戦争遂行計画が実行出来るのかどうかへの疑念を抱くことにもなる。
CSISの同顧問は、米国が手元に準備しているジャベリンは2万~2万5000基と推定。ウクライナへ送ったのは7000基とみている。備蓄分の約3分の1をウクライナへ提供した計算にもなる。
この提供分を米軍が埋め合わせるには約3~4年かかると指摘。今後もより多くのミサイルをウクライナへ送る事態となれば、補充に必要な期間もそれだけ長くなることを意味する。
米国防総省高官は最近、米国は数千基規模のジャベリンや地対空ミサイル「スティンガー」をウクライナへ付与しているものの、米軍の即応態勢に影響は出ていないとの見解を示していた。