米軍特殊部隊の派遣を検討、キーウの米大使館警護で
(CNN) バイデン米政権がウクライナ首都キーウ(キエフ)の米大使館の警護支援を目的として、米軍特殊部隊を派遣する検討を始めていることがわかった。複数の米当局者がCNNに語った。
検討はごく初期の段階で、提案が決定のためバイデン大統領に提示されたことはないという。
キーウの米大使館は先週再開し、国務省の外交警備担当者が限られた人数で警護している。職員の人数が増えた場合の警護増強の必要性や、特殊部隊が適任かについて検討が進んでいる。
米紙ウォールストリート・ジャーナルがこの件を最初に報じた。
米海兵隊は世界中で米大使館の警護に当たっている。だがウクライナでの不確実な安全保障環境に照らすと、追加部隊なしでキーウに通常の海兵隊警護要員を配置するのは適当でない可能性があるとの認識が広まっている。
国防総省のカービー報道官は先週、同省が国務省と警護の要件について話し合ったと説明。最終的な決断や警護の態様は国務長官に委ねられるとしつつも「我々にできる役割があればもちろん協議したい」と述べた。
米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は23日午後、ウクライナに少数の兵士を戻す検討について「比較的低いレベルで進行中」であり、国防長官や自身の元まで計画は上がってきていないと述べた。最終的には「大統領の決定が必要になる」ものの、すぐに決まる状況ではないという。
米国はロシアが公然と米大使館を攻撃することはないと見る一方で、ロシアの防空対応やミサイルが意図せず敷地内に着弾し、状況がエスカレートするシナリオに懸念を抱く。米当局者は、ロシア側は米国が大使館警護に軍要員を使う世界中の公的拠点を完全に把握していると指摘し、そうした要員の存在を事態の悪化とみなすべきではないと語る。
ただ、バイデン氏が米軍はウクライナで戦わないと公言しているため、キーウへの派遣が米国による事態悪化と受け止められる可能性がある点で懸念が生じうるという。
特殊部隊がウクライナ入りすれば、危機発生時には部隊と大使館職員を早急に退避させる手段の確保が必要となる。現時点では車か鉄道で国境に移動する方法のみだ。
国防総省には今のところ、ヘリコプターや固定翼機を使った空からの支援を行う考えはない。もし米軍機が撃墜された場合に救援や偵察の部隊が必要となることを踏まえると、米軍の活動が急拡大する事態に発展する可能性がある。
先週上院で承認された新任のブリンク駐ウクライナ米大使はまだウクライナ入りしていない。ある情報筋によると、ブリンク氏は海兵隊や特殊部隊の警護がなくても入国が可能だという。