米民主党に追い風、上院院内総務と有力議員がエネルギーと医療の法案で合意
(CNN) 米民主党のシューマー上院院内総務とジョー・マンチン上院議員は27日、エネルギーと医療をめぐる法案について合意したと発表した。1年以上にわたり交渉が難航した後での大きな進展だが、共和党からは強い反発の声が上がるとみられる。
合意はマンチン氏にとって重大な方針転換を意味する。医療及び気候に関する法案は、早ければ来月にも法律化する可能性がある。
マンチン氏はバイデン大統領のビルド・バック・ベター(よりよい再建、BBB)社会歳出法案を沈めているが、今回の合意には同氏が個人的にかねて一蹴してきた多くの条項が含まれる。気候危機に対処するための条項もその一つだ。
合意には民主党の掲げる目標が多数盛り込まれている。詳細の多くは明らかにされていないが、概況報告書によれば法案を通じて3690億ドル(約50兆円)をエネルギー及び気候変動プログラムに投資するとみられる。2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を40%削減することを目標とした措置だ。
また高齢者ら向けの公的保険制度「メディケア」は、特定の医薬品に関して価格交渉が可能になるとみられるほか、登録者の自己負担額の上限を2000ドルに設定する見通し。医療保険制度改革法(オバマケア)下で支払われている補助金増額の期限も3年間延長されることになる。
今回の合意発表は、連邦議会にとって極めて重要なタイミングでなされた。上院は休会に入る約1週間前で、休会中は多くの民主党議員が再選に向けた選挙活動を行う。また発表の知らせが届く数時間前には、上院で別の法案が通過した。520億ドルを米国の半導体製造業に投じるこの法案は、早ければ週内に下院へ送られる。
共和党のマコネル上院院内総務は、かねて半導体に関する同法案の通過阻止を試みると約束。民主党議員が引き続き、党の方針に沿った気候や薬価についての法案成立を目指すなら、半導体関連の法案は通させない意向を示していた。