米、ロシアの戦争煽るシナリオ想定し対応検討 戦術核投入含め
(CNN) ロシアによるウクライナ戦争の激化への懸念が強まるなかで、米国が今後起き得る一連のシナリオを想定し、それぞれの場合への対応策を検討していることが15日までにわかった。
戦術核兵器の投入が強行された事態も含まれている。諜報(ちょうほう)の説明を受けられる立場にある3人の消息筋が明らかにした。
米国はウクライナ侵攻の発生以降、緊急対応計画の作成に当たってきた。ロシアのプーチン大統領がウクライナへの直接的な核兵器攻撃とは言えない手段を行使する可能性にも留意していた。
具体的には、ウクライナ中南部にあるザポリージャ原子力発電所への軍事攻撃や人口密集地から離れた高高度での核装置の起爆も念頭に置いていた。消息筋の1人が「核の力の展示」とも称する手段となっている。
米国が検討している一連のあり得るシナリオは、米国とパートナー国による緊急対応の発動準備を促すことが狙いともなっている。「核の力の展示」は、プーチン氏がウクライナ軍あるいは人口密集地への核攻撃を命令せず、米政府当局が「虚勢の見せ物」と形容する行動に走った時に起きるともみている。
米政府当局者は、ロシアが核攻撃に踏み込む準備をしているとの形跡は把握していないと釘を刺している。ただ、専門家らはウクライナ侵攻作戦が停滞し、一部の占領地の併合宣言が実際に起きたことを踏まえ、核兵器の使用は潜在的な選択肢となっているとみている。
プーチン大統領が核兵器使用の威嚇を公の場で繰り返していることにも重大な注意を払っている。先月下旬には、自国の領土保全が脅かされた場合、ロシアと国民を守るため使えるあらゆる手段を行使するとも主張。「これははったりではない」とも言い切っていた。
米連邦下院の情報特別委員会に属する議員はCNNの取材に「プーチン(氏)には何でも可能」と警告。「核攻撃の準備を示す証拠はまだないとは言え、我々は彼の言動の内容などを重く受け止めなければならない」と強調した。