米中間選挙、7つのポイント
(CNN) 8日投開票の米中間選挙で、議会の多数派を目指す争いは残り少ない重要レースの行方次第になってきた。共和党が抱いた圧勝の「赤い波」が起きるという期待は民主党にかき消されたが、両党とも僅差(きんさ)での過半数獲得に望みをつないでいる。
共和党はフロリダ州での圧勝で幕を開けた。現職のロン・デサンティス知事が、従来民主党が強い中南米系市民の多く住む地域で勝利した。この結果が2024年の大統領選の足掛かりになる可能性がある。
だが、その数時間後には民主党が押し返した。ペンシルベニア州で引退する共和党上院議員の議席を争う選挙戦で、民主党のジョン・フェターマン副知事が共和党のメフメト・オズ氏を破った。
下院過半数を目指す戦いの決着はまだついていない。下院選は高インフレや中間選挙の歴史的傾向、昨年の選挙区の区割り見直しなど共和党に有利な材料がそろっていた。
重要レースの集計作業は続いているが、現時点でのポイントをまとめた。
民主党は上院の過半数維持に向けて成功
共和党は上院選でのペンシルベニア州の重要性を公言してはばからなかった。上院の重要な資金管理団体の代表を務めるスティーブン・ロー氏は「ここは勝たなければならないレースだ。ペンシルベニアで勝てれば過半数を握れると信じる」と語っていた。だが、CNNの予測では、勝利したのは民主党候補のフェターマン氏となった。
民主党と郊外
民主党にとって、巨大な「赤い波」の発生を防ぐのに寄与したのが全米各地の郊外地域だ。共和党は依然として下院で勝てそうな状況ではあるが、もし今回の選挙で赤い波が起きていたなら、それは実現しなかった郊外地域での数々の勝利を通じてのものだっただろう。
バージニア州の結果が最初の兆しに
民主党が押さえるバージニア州の下院3議席は、今夜の結果を占う最初の警告になるとみられていた。
CNNの予測によると、当該の3議席のうち10区と7区は民主党が制した。ただ州の南東部に位置する2区では、共和党のジェン・キガンス州上院議員が民主党のエレイン・ルリア下院議員から議席を奪った。
議会襲撃調査委員会のメンバーがまた敗北
上記のルリア氏は昨年1月6日に発生した連邦議会議事堂襲撃事件を調査する下院特別委員会のメンバー。18年と20年の選挙では勝利していたが、その後当該の選挙区は改正によってやや共和党に有利な地域となっていた。
デサンティス氏と24年大統領選
フロリダ州知事選では、CNNの予測によると、共和党の現職ロン・デサンティス氏が大勝。民主党のチャーリー・クリスト氏に対し、推計開票率92%の時点で20ポイント近い差をつけた。24年大統領選の党指名獲得に向けても弾みのつく結果となった。
フロリダ州で中南米系の支持を増やす共和党
共和党が望むのは、20年の大統領選でトランプ氏が中南米系の有権者に浸透していった状況を足掛かりに前進することだ。この流れが続けば、複数の激戦州で政治的な勢力図が塗り替わる可能性がある。
今回共和党がマイアミデード郡で引き続き支持を集めているのは、強力な初期段階のシグナルとなっている。同郡は人口の大半をキューバ系が占める。
しかしフロリダ州以外で共和党がこうした支持を獲得できるかどうかを見極めるにはまだ時間がかかるだろう。
人工妊娠中絶の権利で勝利
ミシガン州の知事選では、現職の民主党グレッチェン・ウィットマー知事が共和党チューダー・ディクソン氏を打ち破った。ウィットマー氏は選挙戦で、人工妊娠中絶をほぼ全面的に禁止する1931年の州法施行を阻止した自身の実績をアピール。一方ディクソン氏は選挙戦を文化的な闘いと捉えて戦った。
今回の選挙では、31年の州法を廃止し、人工妊娠中絶の権利を保障する州憲法の修正案が承認された。ウィットマー氏は同法案を支持していた。カリフォルニア州やバーモント州でも中絶の権利を認める州憲法の修正が住民投票で認められた。