米下院が国防授権法案を可決、軍でのワクチン接種義務を撤廃
(CNN) 米下院は8日、国防予算の大枠を決める8580億ドル(約117兆円)規模の授権法案を可決した。米軍の新型コロナワクチン接種義務の撤廃も盛り込んだ同法案は超党派による広範な支持を受け、採決の結果は賛成350、反対80だった。
今回下院が承認した2023年度の国防授権法(NDAA)の法案は、国防総省の政策課題を設定し、予算規模を示す内容。下院を通過後は上院で採決にかけられ、承認されればバイデン大統領の署名を経て法律となる。
同法案が承認する8580億ドルの国防予算のうち、8170億ドルは国防総省に割り当てられる。法案に盛り込まれた数多くの政策課題の中には、軍要員に対する給与の4.6%の引き上げのほか、空軍力や地上戦の防御能力、サイバーセキュリティーの強化などが含まれる。ウクライナと北大西洋条約機構(NATO)向けの支援の増強を念頭に置いた内容ともなっている。
軍のワクチン接種義務付けの撤廃に関する条項は、共和党が強く求めていた内容を反映する形となった。6日夜の声明で、共和党のマッカーシー下院院内総務は「バイデン大統領による軍隊への新型コロナワクチン接種義務付けの終了は、我が国の軍隊にとっての勝利であり、常識にとっての勝利だ」と述べていた。
ホワイトハウスは7日、仮に軍に対するワクチン接種義務を撤廃する条項を含む場合、バイデン氏がNDAA法案に署名するのかどうか明言しなかった。同氏が引き続き義務付けを支持しているとの認識を示したが、撤廃の可能性への含みも残した。
民主党が撤廃の条項を最終的に受け入れたのは、法案の通過には共和党の優先事項を飲むことが必須だとの結論に至ったためだ。ホワイトハウスは撤廃に反対するオースティン国防長官に沿う姿勢を見せる一方で、自分たちが撤廃に反対しても法案通過を阻止できないと暗に認めている。
同法案の最終案は上下両院の幹部による長期に及ぶ交渉の成果であり、上院でも超党派の支持を受けて成立すると見込まれる。
同法は予算規模を設定するが、歳出を割り当てる歳出予算法案ではない。