米がレーダー網の感度を強化、相次ぐ飛行物体の探知の要因か
(CNN) 米ホワイトハウスは18日までに、米サウスカロライナ州沖で今月4日、中国の偵察用気球を撃墜して以降、米本土やカナダの上空などで不審な飛行物体を相次いで捉えた問題に触れ、「レーダー網の探知能力を最近高めた措置」が要因になった可能性があるとの見方を示した。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官が記者会見で述べた。4日以降には三つの飛行物体を発見し、いずれも撃墜していた。
カービー調整官は、米国とカナダが共同運用する北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は中国気球の捕捉以降、レーダー網の感度を向上させると共に領空監視をより強化したと指摘。
レーダー上では今回の中国気球ほどの大きさのものを含め小さい物体を把握するのは難しいとし、米領空には科学目的など非軍事的な用途に使われる飛行物体も通過していると述べた。
その上で今月10~12日にかけて出現した飛行物体に関連しその性能や由来は明確に分析できていないと説明。米国の安全保障、国益や民間機の航路の安全確保を図る予防措置として行動に出たと主張した。
一方、関係筋はCNNの取材に、NORADは最近、一定の高度以上で活動する速度の遅い物体のより正確な探索方法を再調整したと明かした。探索の範囲を拡大させるなどの修正作業とし、中国気球による米本土上空の移動を許し、潜在的に脅威を及ぼしかねない物体の領空侵犯の防御策に関する議論が起きたことへの対応策だったともした。
中国の偵察気球については米国は領空に侵入する前からその航路を追跡できていた。CNNが以前報じたように、米情報機関が過去1年内に開発した監視方法が奏功した結果ともなっていた。気球が出す独特の一連の信号を解析しながらの追跡だった。
NORADは総じて、一定の高度以下を移動する高速飛行の物体の探知を優先している。脅威をもたらしそうな航空機や一部のミサイルなどを想定している。