米ジョージア州特別大陪審の報告書、一部公開 20年大統領選巡る捜査で明らかになったポイント
(CNN) 米国のトランプ前大統領やその支持者が2020年の大統領選でジョージア州の選挙結果を覆そうとした取り組みについて捜査を進めていた同州の特別大陪審が、期待される報告書の一部を16日に公開した。数カ月に及ぶ捜査から2つの点が明らかになったものの、主要な疑問の多くは答えの出ないままだった。
フルトン郡上級裁判所のロバート・マクバーニー判事は今週、報告書の一部公開を命じた。そこでは報告書の導入と結論、特別大陪審の陪審団が証人の宣誓証言に抱いた懸念が公開されるとの見通しが示された。陪審団は証人らによる宣誓証言の内容が虚偽だったのではないかとの懸念を抱いているとみられる。
マクバーニー氏は特別大陪審によるそれ以外の捜査結果については現時点で公開しないことを明言。とりわけ、潜在的な起訴に関する勧告を行っている部分は非公開にするとした。これらの勧告で名前の挙がる人物の一部は、これまでのところ大陪審の手続きに現れていない可能性があるからだ。
従って16日に公開された報告書には、いかなる個人名も挙げられていない。
公開された報告書の一部は短く、全部で9ページしかない。以下にその部分のポイントをまとめた。
ジョージア州で広範囲の選挙不正はなし
特別大陪審は20年の大統領選について、ジョージア州で広範囲にわたる選挙不正はなかったと「全会一致で」結論。トランプ氏の陰謀論を退けた。選挙当局者や投票所の係員、その他の専門家らから「幅広い証言」を聞いた結果だとした。
証言者の中にはジョージア州の当局者や職員のほか、今なお不正があったと主張する人々も含まれているという。
不正問題に絡む特別大陪審の結論が重要なのは、それによってトランプ氏が正当な選挙結果を覆そうとしていたことが改めて確定するからだ。これは州の検事らが下す起訴の判断に影響を及ぼす可能性がある。検事らは、20年大統領選に関連する犯罪でトランプ氏とその支持者らを起訴するかどうか検討中だ。
偽証罪で起訴の可能性
特別大陪審は、フルトン郡のファニ・ウィリス地区検事に対し、一部の証人について偽証罪での起訴を検討するよう勧告した。捜査の過程で入手した75人の証人に関する証言は圧倒的多数が宣誓の下で行われたものだが、公開された報告書の一部によると、虚偽の証言をした証人が1人以上いた可能性があるという。
16日公開の報告書の一部は、当該の勧告に絡んでいかなる証人の名前も挙げていない。また特別大陪審が聞き取った証言について、これ以外の詳細は一切提示していない。
民主党のウィリス地区検事は現時点で、当該の捜査でいかなる起訴も行っていない。報告書を公開するかどうかを巡る先月の審理の中で、ウィリス氏は特別大陪審が数多くの起訴を勧告していたことを示唆。実際に起訴するかどうかについての自身の決断も「間近だ」と述べていた。
トランプ氏に関する情報はなし
フルトン郡の捜査から浮かぶ疑問で最も明確かつ急を要するのが、トランプ氏は起訴されるのかどうかというものだ。16日公開された報告書の抜粋は、この疑問に対する答えに近づくものではなかった。そこにトランプ氏をはじめとする捜査の対象者あるいは証人らの名前への言及はなかった。
つまり情報待ちの状態が現在も続いているということだ。
ウィリス氏の決断が持つ意味は、これ以上なく大きなものになる可能性がある。24年大統領選の選挙活動は既に本格始動しており、トランプ氏の起訴を巡るウィリス氏の決断が共和党の予備選を混乱に陥れるかもしれない。
トランプ氏は、陪審団の前での証言は行わなかった。16日の声明で同氏の選挙陣営は、ジョージア州の選挙当局者にかけた同氏の電話の内容について、「完璧」であり不正なことは何もしていないと改めて強調した。
トランプ氏は21年1月、ジョージア州のブラッド・ラフェンスパーガー州務長官に電話で圧力をかけ、大統領選の結果について同州での勝利に必要なだけの票を「見つける」よう求めていた。ウィリス氏が捜査を開始したのはこの直後だった。
特別大陪審はどのように機能したか
報告書の一部は、特別大陪審が過去7カ月にわたり非公開の場でどのように機能していたかにも光を当てた。当該の陪審団は補欠要員3人を含む26人で構成される。
陪審団が証拠の審理を始めたのは昨年1月。各陪審員が選ばれてから1カ月後のことだった。以降75人の証人の証言を聞いた。証言は大抵宣誓の下で行われた。
特別大陪審は物的証拠やデジタル証拠も精査した。また地方検事補のチームから、適用される法や訴訟手続きに関する説明を受けた。
報告書の抜粋によると、特別大陪審は裁判所に対し、起訴や関連する法を巡る勧告を行った。それぞれの話題に関する陪審団の投票結果も示した。
未公表の報告書には脚注があり、陪審らはそこで様々な勧告を巡る自分たちの投票について説明しているという。また公表された報告書の結論部分で、特別大陪審は当該のメンバーが刑法や選挙法の専門家ではないと指摘している。
さらなる報告書の公表も
今回公開された報告書の一部によれば、今後さらに多くの部分が公表される可能性もある。
「解散を前に、特別大陪審は投票によって最終報告書の公表を勧告した。特別大陪審はそうした公表のタイミングややり方を巡る推奨は行わなかった」と、報告書の一部にはある。
16日に公開された報告書の一部は9ページと短く、大統領選に絡む捜査の結果について広範な情報を提供するものではなかった。