米、パトリオット損傷の可能性を評価中 キーウ近郊へのロシアの攻撃で

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米製地対空防空システム「パトリオット」の資料写真/Ibrahim Erikan/Anadolu Agency/Getty Images

米製地対空防空システム「パトリオット」の資料写真/Ibrahim Erikan/Anadolu Agency/Getty Images

(CNN) 16日未明のウクライナ首都キーウやその周辺に対するロシア軍の連続ミサイル攻撃で、米製地対空防空システム「パトリオット」が損傷を受けた可能性があることがわかった。米当局者がCNNに明らかにした。パトリオットは破壊は免れたという。

この当局者によると、米国は損傷の程度を評価中で、修理のためにシステム全体を同国から引き揚げるか、現場でウクライナ軍が修理可能な程度の損傷かを見極める。

ロシア国防省は同日、SNS「テレグラム」に「キンジャル極超音速ミサイルシステムによるキーウ市の精密攻撃は米製パトリオット防空ミサイルシステムに当たった」と投稿した。

米国家安全保障会議(NSC)の報道官にコメントを求めたが、ウクライナ政府に問い合わせるように促した。

ウクライナの当局者は同日、ロシアが発射した極超音速ミサイル6発をすべて迎撃したと語った。だが、ウクライナ軍はパトリオットシステム攻撃に関するロシア軍の主張にコメントを控えた。ウクライナ空軍司令部のイーナット報道官は「この件についてはコメントできない。ロシア側のソースに関するコメントはしない」と述べた。

ウクライナは現在、米国からの1基、ドイツとオランダから共同で供与された1基、計2基のパトリオット防空システムを保有する。損傷した可能性があるのがどちらのシステムかは不明。だが、一時的にでも運用から外れれば、ロシアのミサイル攻撃が激しさを増す中でキーウの防衛能力に影響を及ぼす可能性がある。

米当局者は先週、ロシアが5月4日夜に極超音速ミサイルでウクライナにあるパトリオットを破壊しようとしたとCNNに明らかにした。その試みは失敗し、逆にウクライナ軍がパトリオットでミサイルを撃墜したという。

パトリオットはウクライナが強く要望した防空システムだった。米国はウクライナ軍兵士にシステムの維持や操作を10週間で教え、その習得の早さは西側当局者を驚かせた。パトリオットは先月ウクライナに到着した。

別の米当局者によると、パトリオットの機材の一つが今回のミサイル攻撃で被害を受けた可能性があるという。パトリオットは発電機、レーダー装置、管制装置、アンテナ、発射装置、迎撃ミサイルの六つの機材から構成される。こうした機材が統合して稼働し、ミサイルの発射と目標への誘導が可能になる。

だが、機材の一つ以上が大きな損傷を受ければ、大規模修繕のために国外への運搬を余儀なくされる可能性がある。

パトリオットは遠距離から向かってくる目標を探知できるよう強力なレーダーを備えており、弾道ミサイルなどを迎撃できる。だが、こうしたレーダーの出力は敵にパトリオットの位置を察知する機会も与えることになる。

米国はロシアにパトリオットの信号を拾う能力があり、極超音速ミサイル「キンジャル」を使ってパトリオットを狙うことが可能とみている。これまでウクライナに供与された短距離の防空装備は移動式のため標的にされにくかったが、パトリオットのシステムはそれより大規模で一定の位置にとどまるため、ロシア軍が時間をかけてその位置を探ることが可能となる。

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