中国軍戦闘機が米軍偵察機に接近、南シナ海で 「不必要かつ攻撃的な機動」と米国
(CNN) 中国軍の戦闘機1機が先週、米軍の偵察機に対し、南シナ海の公海上空で「不必要かつ攻撃的な機動」による接近を実施していたことが分かった。米軍が30日の声明で明らかにした。
当該の中国軍の戦闘機「J16」は今月26日、米軍の偵察機「RC135」に接近し、機首の前を横切った。このため、RC135は後方乱気流の中を飛行することを余儀なくされた。米軍が公開した動画からは、J16の機動飛行により乱気流が発生し、RC135の飛行に影響を及ぼしているのがはっきりと確認できる。
米インド太平洋軍は当時のRC135について、公海上空で「安全かつ規定通りの軍事行動」を実施していたと述べた。
同軍は声明を発表し、今後も空及び海上で、国際法の認める活動を安全に、責任を持って実施するとした。
今回のインターセプトは米中関係が緊迫する中で発生した。両国の関係は昨年8月のペロシ前下院議長による台湾訪問や、今年2月の米国による中国の偵察気球撃墜の判断などを受けて冷え込んでいる。
CNNはかねて米国側が高官による訪中の調整を模索し、実質的な問題に関する中国政府とのやり取りの再開を図っていると報じていた。しかし29日、米国防総省は中国がオースティン国防長官と李尚福国防相との会談の提案を断ったと明らかにした。今週シンガポールで開催される「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」で両者の会談を実現しようというのが提案内容だった。
国防当局者の1人はCNNの取材に答え、中国は2021年以降、幹部級の対話に関するペンタゴンからの要請を十数件余り拒絶もしくは返答なしで済ませているという。
一方、在米中国大使館は、誠意と重要性の面から今回の米国からの提案に疑問を呈した。その際、米国が中国の当局者や組織、企業に対して科した制裁措置に言及した。
ただ別の国防担当の高官は30日、中国側による米軍偵察機への前述の接近を巡り、「適正で確立された外交及び軍事の経路を通じ」対応に当たっていると説明した。