トランプ氏の連邦地裁出廷、6つのポイント
マイアミ(CNN) 機密文書の持ち出しをめぐって起訴されたトランプ前米大統領は13日、フロリダ州マイアミの連邦地裁に出廷した。同氏が2024年大統領選での勝利を狙い、検察への攻撃を続ける姿勢が、改めて浮き彫りになった。
捜査を指揮してきたジャック・スミス特別検察官が先週、トランプ氏の起訴を発表した。米大統領経験者が連邦犯罪で起訴されたのは初めて。本人は13日の罪状認否で、37件の罪状すべてについて無罪を主張した。この日のポイントをまとめた。
1.歴史的瞬間
トランプ氏は不倫口止め料をめぐる疑惑でも起訴され、4月にニューヨーク・マンハッタン地区の裁判所で無罪を主張していた。だが連邦犯罪での起訴は、さらに重大な意味を持つ歴史的瞬間だったといえる。
スミス氏が提出した起訴状は、共和党内の親トランプ派からも有罪は免れないと言われる内容だった。
裁判が今後どうなるにせよ、大統領選に向けた共和党の候補指名争いに大きな影響が及ぶことは間違いない。
トランプ氏に対してはさらに、20年大統領選の結果を覆そうとしたとされる問題でも、ジョージア州フルトン郡の地方検事が捜査を進めている。
2.証人との接触制限を追加
法廷での手続きはほぼ予想通りに進んだが、トランプ氏と一部の証人との接触を制限するかどうかについては意見が分かれた。
検察が当初示した保釈条件に接触制限は含まれていなかったが、担当のジョナサン・グッドマン判事が自ら、証人との接触にかかわる懸念を表明。同連邦地裁では通常の措置だとして、検察が制限対象の証人や被害者をリストアップし、トランプ氏に裁判期間中の接触を避けさせるよう提案した。
同時に起訴された側近、ウォルト・ナウタ氏との接触も制限されたが、同氏が今もほぼ毎日トランプ氏と行動をともにしていることを考慮し、この案件に関するやり取りだけを制限対象とした。
3.抗議デモで大きな混乱なし
地元、連邦当局は当日、トランプ氏の出廷に大勢が詰めかけることを想定して警戒態勢を取っていた。しかし法廷周辺の道路で、支持者や抗議グループによる大きな混乱は起きなかった。
共和党のスアレス市長は13日、出廷を前にしたCNNとのインタビューで、「今のところ平穏な状況だ」「私の知る限り、逮捕者も出ていない」と語り、このまま何事もなく人々が帰宅することを願っていると述べた。
4.直後にキューバ料理店で選挙戦モードに
トランプ氏は法廷を出てすぐ、マイアミ市内の有名なキューバ料理店「ベルサイユ」へ向かった。
店内では支持者らがトランプ氏を迎え、14日に誕生日を迎える同氏に「ハッピーバースデー」の歌を贈った。
トランプ氏はすぐ選挙戦モードに戻り、出廷はどうだったかと問われて「この国は衰退しつつある」などと語った。
そして店を出た後、SNSにこう書き込んだ。「ありがとう、マイアミ。わが国にとっては実に悲しい日となったが、実に温かい歓迎だった」
5.側近ナウタ氏の罪状認否は後日に
この日はトランプ氏とともにナウタ氏も初出廷したが、同氏の罪状認否は27日に設定された。
ナウタ氏はトランプ氏とともにマイアミ入りして12日の夕食をともにした。13日も一緒に法廷を出てベルサイユの店内まで付き添った。
同氏の弁護士費用は、トランプ氏が設立した政治活動委員会(PAC)「セーブ・アメリカ」が負担している。
側近ナウタ氏の姿を描いた法廷スケッチ=13日、フロリダ州マイアミ/Jane Rosenberg/Reuters
6.今後の審理はキャノン判事が担当
13日の罪状認否を担当したグッドマン判事に代わり、今後の審理を担当するのはトランプ政権下で連邦地裁判事に指名されたアイリーン・キャノン氏だ。
キャノン氏は、トランプ氏が機密文書問題でフロリダ州の自宅「マール・ア・ラーゴ」を連邦捜査局(FBI)に捜索されたことに反発して提訴した際、トランプ氏に有利なルールを作り出したとして、専門家らに問題視された経緯がある。