冷凍庫から「うっとうしいアラーム音」、清掃員が電源オフ 20年の研究台無しと大学が提訴 米

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米レンセラー工科大学で清掃員が研究用冷凍庫の電源を切ったとして、大学が清掃会社に提訴/Jeremy Graham/Alamy Stock Photo

米レンセラー工科大学で清掃員が研究用冷凍庫の電源を切ったとして、大学が清掃会社に提訴/Jeremy Graham/Alamy Stock Photo

(CNN) 米ニューヨーク州のレンセラー工科大学で、清掃員が研究室の冷凍庫の「うっとうしいアラーム音」を聞いてスイッチを切り、20年以上におよぶ研究成果を台無しにしてしまったとして、大学側が清掃会社を相手取り、100万ドル(約1億4000万円)あまりの損害賠償を求める訴えを同州レンセラー郡の裁判所に起こした。

清掃会社ダイグル・クリーニング・システムズの契約社員だった清掃員は2020年、レンセラー工科大学で数カ月間、勤務していた。この清掃員本人は被告には含まれていない。

訴状によると、研究室の冷凍庫には細胞培養や標本など20年以上に及ぶ研究材料が保管されており、「わずか3度の温度変化で壊滅的な損害が生じる」状態だった。

過失は清掃員本人ではなく、適切な訓練や指導を怠った清掃会社側にあると大学側は主張。この過失によって細胞培養や検体、研究成果に損害が生じたと訴えている。

CNNはダイグル・クリーニング・システムズ側にコメントを求めている。

大学側の弁護士は、「清掃会社側に不正行為があったとは思っていない」とした上で、「これは人為ミスの結果だった。だがこの問題の核心は、清掃会社が人員の適切な訓練を怠ったことにある。清掃員は電気系統の問題の是正を試みないよう、訓練しておくべきだった」と話している。

訴えによると、冷凍庫の中の細胞培養や標本は零下80度の温度を保つ必要があり、わずか3度の温度変化で損傷する恐れがあった。このため温度が零下78度まで上昇したり、零下82度まで下がったりした場合、アラームが鳴る設定になっていた。

この研究を監督するK・V・ラクシュミ教授は20年9月14日ごろ、温度が零下78度まで上がってアラームが鳴っていることに気付いた。

しかしラクシュミ教授らは、緊急修理が終わるまで細胞標本の安全性に問題はないと判断。冷凍庫のメーカーが修理に来るのを待つことにして、それまでの間、コンセント周りに安全ロックボックスを取り付けた。冷凍庫には警告を貼り出した。

しかし同月17日、清掃員が「うっとうしいアラーム音」を聞いて冷凍庫に電源を供給しているブレーカーを操作、誤ってブレーカーのスイッチを切った。これによって冷凍庫の温度は零下32度まで上昇した。

翌日、冷凍庫のスイッチが切れているのを学生が発見。研究成果の保全を試みたものの、培養の大部分が「損なわれ、破壊され、救いようのない状態となって、20年以上におよぶ研究が台無しになった」と大学側は訴えている。

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