ベラルーシへの核兵器移送、プーチン氏の主張を「疑う理由なし」 米情報当局者
(CNN) 米国防情報局(DIA)の複数の高官は21日、ロシアが戦術核兵器の第1陣をベラルーシに移動させたとするプーチン大統領の主張について、「疑う理由はない」との認識を示した。
プーチン氏は先月のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムで、「(ロシアの)核弾頭の第1陣がベラルーシ領に移送された」と述べ、ベラルーシに配置する理由として「抑止」を挙げていた。
全米科学者連盟によると、ロシアは配備済みまたは備蓄中の核弾頭を4477発保有しており、その中には戦術核兵器約1900発が含まれる。プーチン氏がこのうち何発を移送する考えなのかは不明。欧米の当局者はこれまで、ベラルーシへの兵器移送を公には確認していない。
ただ、DIAの高官らは今回、少数の報道陣に対しプーチン氏の主張を「疑う理由」はないと述べ、ロシアが兵器の移送に「一定の成功を収めた」ことについても疑う理由はないとの見方を示した。
高官らはそう考える理由については明かさず、人工衛星画像を使ったとしても米情報機関が核兵器の行方を追跡するのは難しいと認めた。
米欧の当局者は今月、CNNに対し、ベラルーシが戦術核兵器の収容に必要な保管施設の改修を終えたようには見えないと説明。入手可能な衛星画像からは、ロシアの核施設で標準的に見られるような準備や警備が行われている兆候はうかがえないと述べていた。
ただ、別の情報筋はCNNに対し、ベラルーシにはソ連時代にさかのぼる様々な施設があり、それらを一部の核兵器の収容に使える可能性はあるとの見方を示した。
ベラルーシのルカシェンコ大統領は先月、侵略に直面した場合、ベラルーシに配置されたロシアの戦術核を使用することを躊躇(ちゅうちょ)しないと発言した。ただ、DIAの高官らは、ルカシェンコ氏が核兵器の管理権を少しでも有しているとは考えられず、完全にロシアの管理下にあると考えるのが妥当だろうとの見方を示している。