米国への怒り、アラブ世界で高まる 米外交官がバイデン政権に警告
(CNN) バイデン米政権が、アラブ世界にいる自国の複数の外交官から厳しい警告を受けていたことが10日までに分かった。イスラエルによる破壊と死をもたらす軍事行動を強力に支援することで、米国はアラブの世論の支持を1世代にわたり失いつつあると、これらの外交官は訴えている。CNNが入手した外交公電で明らかになった。
公電は米当局者の間での深い懸念を強調する内容。懸念は米国に対する怒りの高まりについてのもので、この怒りはイスラエルがイスラム組織ハマスへの軍事作戦を開始した直後から噴き出していた。イスラエルによる作戦は、ハマスが同国に仕掛けた先月7日の奇襲への報復。奇襲により、イスラエル人1400人あまりが死亡した。
「我々は、メッセージを発信し合う戦場で惨敗している」。在オマーン米大使館から8日に寄せられた公電はそう指摘する。広範にわたる関係筋との会話を引用する内容で、彼らは信頼に足る、冷静な人物たちだと告げている。
米国によるイスラエルの行動への堅固な支持は、実質的かつ道義的な責任が問われるものとこれらの関係筋は見ている。戦争犯罪の可能性もあるというのが彼らの考えだと、公電は警告する。
同大使館で2番目の地位にある高官が作成したこの公電は、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)、中央情報局(CIA)、連邦捜査局(FBI)などに送られた。一地域の大使館が寄せた1本の公電でしかないが、それは中東を席巻する反米の波の高まりに抱く警戒感を短い表現で密かに伝える内容となっている。
CNNが入手したエジプト・カイロにある米大使館からの別の公電は、国営の地元紙に掲載された論説を伝えた。そこでは「バイデン大統領のパレスチナ人に対する残酷さと無関心は、歴代の全大統領を超えた」と断じている。
CNNは米国務省にコメントを求めている。
パレスチナ自治区ガザ地区での破壊と人道危機が報じられる中、米国によるイスラエル支持を巡り、バイデン大統領に対する圧力は米国内外で高まっている。政権が停戦の要求を拒否する一方、当局者らはガザに向けた支援の強化に取り組み、人道上の戦闘休止を強く呼びかけている。より多くの支援を送り届け、民間人の避難を可能にするのが狙いだ。
この数日、アラブ世界の米国の同盟国は、ガザの人道危機に対する深い怒りを表明していた。
ホワイトハウスは9日、イスラエルが事態を進展させることに合意したと発表。ガザ地区の北部で、人道支援と民間人の避難を目的に1日4時間の戦闘休止を始めると明らかにした。
米当局者らはこの合意を進歩と見なしているが、それでも政権内では米国のイスラエル支持に対する懸念が依然として高まっているのが実情だ。