イスラム嫌悪の偏見行為、米国で前例ない件数記録 団体報告
(CNN) イスラム教徒の市民権擁護活動などを進める団体「米イスラム関係評議会」(CAIR)は12日までに、米国内でアラブ人やイスラム教徒に反発する偏見行為の報告件数は、イスラム組織「ハマス」とイスラエルの軍事衝突が拡大した1カ月間で前例のない規模に悪化したと発表した。
ハマスがイスラエルへ大規模奇襲を仕掛けた先月7日以降、計1283件に上ったとした。攻撃や威嚇、嫌がらせなどの偏見行為に遭遇し、助力を求めた件数も含まれている。同評議会は9日、前年比では216%の急増を示したとも報告した。
2022年の記録で29日間と区切った数字を見た場合、寄せられた苦情などは平均で406件だった。
CAIRの調査担当などの幹部は「今回の新たなデータは、イスラムへの嫌悪や反アラブの偏見の大きな広がりとしては2015年12月以降で最大規模になったことを物語る」との声明を発表。後で大統領となるトランプ氏は同年、米国内からイスラム教徒を締め出す計画を発表し、イスラム教徒への偏見をあおり、威嚇行為などを誘発してもいた。
同幹部は、反イスラムや反パレスチナの言動はパレスチナ自治区ガザ地区でのパレスチナ人に対する暴力の正当化や米国内でのパレスチナ人の人権擁護の支持者を沈黙に追い込むために使われているとも主張。このことが今回の新たなデータの背景要因にもなっているとした。
CAIRは米国で最大規模のイスラム教の市民団体。同評議会は今年、1990年代に記録の収集を始めて以降、2022年は米国内での反イスラムの偏見行為が減少する初めての年になったとの報告書を公表してもいた。