米、ヨルダンでの攻撃に強力な報復か 対イラン戦争への発展に懸念も
(CNN) ヨルダンのシリア国境付近にある米軍の前哨基地に対するドローン(無人機)攻撃を受け、米国側の対応はこれまでイラクやシリアで行ってきた報復爆撃よりも強力なものとなる公算が大きい。複数の当局者がCNNに明らかにした。ただ国防総省もホワイトハウスも、政権の計画が表に出ないよう注意を払っている。
バイデン大統領に向けては、今回のような攻撃が二度と起こらないよう対応を求める圧力が高まっている。イランを後ろ盾とする武装勢力はイラクとシリアの米軍施設を狙い、昨年10月以降160回を超える攻撃を実施。複数の共和党議員からは、米軍がイラン国内を直接攻撃して明確なメッセージを送るべきだとの声も上がる。
しかし現時点でバイデン政権の最大の課題は、今回のドローン攻撃に対処しつつ、地域戦争の発生を阻止することだ。
米国はこの数カ月でイランの代理勢力の拠点を標的とする複数の空爆を行っているが、これまでのところこれらの勢力の攻撃に対する抑止力は働いていない。
米軍退役中将のマーク・ハートリング氏は、今回の米軍要員の死が「間違いなく大統領にとって越えてはならない一線を越えるものだった」と指摘。当局者やアナリストらもより強力な対応を見込んでおり、必ずしも1国や1日に限定した攻撃にはならないとの予想も出ている。しかし、米国によるイラン国内の攻撃については、ここまで当局者らは否定的な考えを示唆した。
ある米当局者は、米国側が今回のドローン攻撃について、ドローンの起点や発射した武装勢力を過度に特定しないよう注意を払っていると明らかにした。米国が対応に踏み切った時、ある程度の意外性の要素を残すためだという。
現時点で米当局者は、イランの代理勢力「カタイブ・ヒズボラ」が攻撃を支援したようだとする見解のみを表明。ある米国防当局者はCNNの取材に答え、「我々はいかなる可能性も排除しない」と語った。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官は29日、CNNの取材に答え、イランとの戦争や中東での紛争拡大は望んでいないと強調。「実際のところ、大統領のこれまでのあらゆる行動は、緊張緩和を念頭に置いている」と述べた。
米国側は代理勢力による攻撃の責任が最終的にイランにあるとしているものの、イランが28日のドローン攻撃を明確に指示した兆候は現時点で確認されていない。米国に対する緊張激化を図った事実も示唆されていない。多くの情報筋がCNNに明らかにした。
イラン政府も攻撃への関与を否定している。