米中首脳が電話会談、昨年11月以来 緊迫する世界情勢巡り協議
ワシントン(CNN) バイデン米大統領は2日、中国の習近平(シーチンピン)国家主席と電話会談を行った。両首脳が言葉を交わすのは、昨年11月の対面での会談以来となる。
電話会談ではパレスチナ自治区ガザ地区とウクライナで継続中の戦争、北朝鮮による核開発が議題に上った。また台湾問題、中国による最近の南シナ海での挑発行為、中国政府による人権侵害など、かねて米中関係の緊張をもたらしてきた問題も話し合われた。
米中両国の当局者にとって協力の余地のある議題としては薬物対策、人工知能(AI)の開発促進、気候変動などを取り上げた。ホワイトハウスの会談記録で明らかになった。
ホワイトハウスは、1時間45分の会談について「率直かつ建設的」なものだったと評価。議題は多岐にわたり、両首脳が合意する内容もあればそうでないものもあったとした。バイデン氏は台湾海峡の「平和と安定」を維持する必要性を強調する一方、中国によるロシアの防衛産業への支援に懸念を表明したという。
米国の労働者に不利益をもたらすとされる中国の通商戦術や、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」についての懸念も伝えた。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は記者団に対し、バイデン氏が下院を通過したティックトックにまつわる法案について議論したと明かした。同法案はティックトックを運営する中国のIT大手「バイトダンス」が165日以内にティックトック事業を売却しなければ、米アプリストアでの扱いを停止する内容で、バイデン氏はこの件が米国の国家安全保障に関わるものだと強調したという。
ホワイトハウスは会談を要約した声明の中で、両首脳が連絡経路の開通を維持する現行の取り組みを歓迎したと述べた。また高官レベルの外交や事務レベルの協議を通し、責任もって関係運営に当たる努力がなされている点にも満足感を示したと明らかにした。今後ブリンケン米国務長官が訪中する予定だとも伝えた。