熱気球墜落事故、死亡したパイロットからケタミン検出 米アリゾナ州
(CNN) 米アリゾナ州で1月に熱気球が墜落して4人が死亡した事件で、パイロットの血液から幻覚作用を持つ薬物「ケタミン」が高濃度で検出されたことが分かった。地元検視当局による法科学検査報告書で明らかになった。
連邦航空局(FAA)などの毒物検査によると、熱気球を操縦していたコーネリアス・バンデルワルト氏(37)の体内から1.1~1.2ミリグラムパーリットルのケタミンが検出された。英国ではケタミンの血中濃度が0.02ミリグラムパーリットルを超えると運転能力に支障が出ると考えられている。
検視報告書によると、バンデルワルト氏がケタミンを処方されていたとの情報はない。救命措置を取った際もケタミンは使用されなかったという。
米麻薬取締局(DEA)によると、ケタミンは幻覚作用を持つ解離性麻酔薬で、使用者に痛みや環境から切り離された感覚を与える。うつやトラウマ(心的外傷)の治療に役立つことも実証されており、2019年には派生薬「エスケタミン」が米食品医薬品局(FDA)によって一部のうつ病患者向けに承認された。
報告書は最終的に、死因は複数の外傷だと判断。事故死だったとの見解を示した。
事故は1月14日、アリゾナ州エロイで起きた。熱気球にはパイロット1人と乗客4人、スカイダイバー8人の計13人が乗っていた。スカイダイバーが気球のバスケットから無事飛び降りた後、気球の「球皮」と呼ばれる袋の部分に問題が発生。当局はこれが墜落原因になったとしている。