伊アニメ企業、米制裁違反の罰金に合意 北朝鮮スタジオと取引し

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2006年に撮影された北朝鮮のアニメスタジオ「SEK」の社内の様子/Alain Nogues/Corbis/Getty Images/File

2006年に撮影された北朝鮮のアニメスタジオ「SEK」の社内の様子/Alain Nogues/Corbis/Getty Images/File

(CNN) 米財務省は29日までに、北朝鮮の国営アニメスタジオと取引していたイタリアのアニメ企業「モンドTV」が米国による対北朝鮮制裁の「明白な違反行為」を認め、53万8000ドルの罰金を支払うことで合意したと発表した。

財務省が北朝鮮の映画やアニメ産業関連の制裁で罰金を科すのは初めて。専門家によると、北朝鮮の映画産業などは外国企業と長年、内密の取引を続けており、重要な資金を捻出しているとされる。

同省の声明によると、ローマに拠点があるモンドTVは米国の金融機関を通じ、「SEK」として知られる北朝鮮の代表的なアニメスタジオに下請け業務の代金を送金。金額は53万8000ドルだったとし、2019年5月から21年11月までの間に支払われたとした。

この代金を受け取るためSEKは中国や米国にある「第三者的な企業」を利用。米国の複数の銀行に口座を設けてもいた。財務省はこの銀行名には具体的に触れなかった。

モンドTVグループの最高経営責任者(CEO)はコメントを拒んだ。同社は1985年に創業。イタリアで漫画など多数の人気作品を制作し、売り出している。

米財務省によると、北朝鮮の労働者とは知らずに雇う企業は多いが、モンドTVの幹部たちは取引相手の素性は明確に認識していたという。SEKとの取引は1990年代に始まり、子ども向けのアニメを含む多数の下請け業務を発注していた。

モンドTVが提供する訓練に参加するためSEKのアニメ制作者がイタリアへ赴いた時には応対していた。北朝鮮への送金で米の金融システムが利用されていることを財務省が把握して調査を開始し、罰金を科す警告もしていたという。

米シンクタンク「スティムソン・センター」の朝鮮問題担当責任者は「欧州の企業が2013年以降、相手の正体を知った上で北朝鮮企業との事業を進めていたことやそれが発覚しないと信じていたことがかなりの驚き」と指摘。国連は同年、北朝鮮への制裁に踏み切ってもいた。

北朝鮮のアニメをめぐっては研究者たちが昨年、北朝鮮のコンピューターサーバー上でアニメのスケッチを多数発見する異例の事態も起きていた。これを受け米国のアニメスタジオが知らないような形で北朝鮮の制作者らが自ら手がける仕事に関与している可能性も取り沙汰されていた。

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