米、イスラエル持つ「パトリオット」のウクライナへの転送検討

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米国製地対空ミサイル「パトリオット」=2022年、ポーランド/Stringer/Reuters/File

米国製地対空ミサイル「パトリオット」=2022年、ポーランド/Stringer/Reuters/File

(CNN) バイデン米政権が、イスラエルへ提供した米国製地対空ミサイル「パトリオット」を防空能力の強化が喫緊の課題となっているウクライナへ差し向ける計画を両国と協議していることが30日までにわかった。

米政権高官やこの協議の経緯に通じる関係筋が明らかにした。イスラエルにあるパトリオットは旧式化しつつあるも、米政府はウクライナの防空網へのてこ入れを緊急性を要する最優先課題と位置づけている。

ウクライナにパトリオットを提供をしたのはこれまで米国とドイツとなっている。ロシア軍はこのところ、ウクライナの防空能力の衰退につけ込むかのように空爆を拡大し続けている。

3カ国間の協議に関する最終的な合意は得られていないが、米政権高官はまとまる可能性があると期待。特に、ウクライナで既に投入されているパトリオットがロシア軍のミサイル迎撃などで能力を見せつけていることに触れた。

3カ国間で合意が成立しても、イスラエルのパトリオットがウクライナに実際に届くまでの期間の長さは不明。ウクライナへ向かう前にいったん米国へ送られ、部品点検や総合的な整備作業などを終えてからウクライナへ輸送される可能性がある。

イスラエルが仮に自国のパトリオットのウクライナへの移動を認めれば、同国がウクライナ戦争でこれまで維持してきた不偏的な外交方針の大きな転換ともなり得る。

イスラエルはこれまで、ロシアのプーチン大統領へのあからさまな批判は避ける慎重姿勢を保ってきた。プーチン氏は2022年、イスラエルがウクライナへ兵器を供給すれば「2国間関係の全てが破綻(はたん)するだろう」とも釘を刺していた。

ウクライナに対する兵器提供が関心を招くことを拒む姿勢も目立つ。ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアの侵略開始直後の数カ月間、イスラエル製の防空システム「アイアンドーム」の譲渡を要請したがかなわなかった。

イスラエル軍は今年4月、保有するパトリオットの利用を近く中止するとの考えを表明した。同ミサイルがイスラエル軍の兵器として完全に組み込まれたのは1991年。2014年にパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織「ハマス」との間で起きた軍事衝突で、ガザから飛来したドローン(無人機)を撃墜する初の戦果を示していた。

イスラエル軍によると、作戦遂行中に発射されたパトリオットはこれまで19回で、現在のガザの軍事作戦に絡んでは9回とした。ミサイル防空兵器としてはアイアンドームの他、短距離ミサイル迎撃用の「ダビデ・スリング」と長距離用「アロー3」への依存が高くなっている。

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