米民主党全国大会、１日目終了　バイデン氏がハリス氏にバトン渡す

（ＣＮＮ） 米民主党の全国大会が１９日、イリノイ州シカゴで開幕した。大会の初日は、バイデン大統領が１１月に行われる大統領選でのバトンをハリス副大統領へと引き継ぐことで幕を閉じた。

バイデン氏は登壇に際し、４分間のスタンディングオベーションを受けた。バイデン氏は演説で、ハリス氏を２０２０年の大統領選で副大統領候補として起用したことについて、「私のすべてのキャリアにおいて下した最高の決断だった」と振り返った。

バイデン氏は「彼女は我々の子どもたちが尊敬できる大統領になるだろう。彼女はすでにそうであるため、世界の指導者たちから尊敬される大統領になるだろう。我々全員が誇りに思う大統領になるだろう。そして、米国の未来に刻まれる歴史的な大統領になるだろう」と述べた。

バイデン氏は、共和党候補のトランプ前大統領を厳しく批判したほか、自身の政権の業績を詳細に振り返った。

大会にはクリントン元国務長官も登壇し、米国初の女性大統領の可能性を強調した。クリントン氏自身は８年前の大統領選では当選は果たせなかったものの、「ガラスの天井」がついに破られたときに、ハリス氏のためにその場所にいたことを、自身の孫やその孫たちに知ってほしいと訴えた。

「私の母親とカマラの母親に私たちを見てほしい。２人は言うでしょう『前進し続けて』と」（クリントン氏）

クリントン氏は、女性として初めて民主党からの大統領候補指名を目指したシャーリー・チザム氏や、女性として初の副大統領候補となったジェラルディン・フェラーロ氏に言及し、２人も「前進し続けて」と言うだろうと語った。

クリントン氏は、トランプ氏がニューヨーク州での「口止め料」をめぐる裁判で有罪評決を受けたことをめぐり、「彼自身の歴史を作った。３４の重罪で有罪評決を受けて大統領に立候補した初めての人物だ」と指摘した。聴衆からは「（トランプ氏を）刑務所に入れろ」との声があがった。１６年の大統領選ではトランプ氏の集会で「（クリントン氏を）刑務所に入れろ」との掛け声が上がっていたのを受けたものだった。

民主党は、最高裁が人工妊娠中絶の権利を認める「ロー対ウェイド判決」を覆したことをめぐり、保守派の最高裁判事を指名したトランプ氏を非難した。３人の女性が、権利支持の一環として、人工妊娠中絶や生殖医療に関する体験談を披露した。ロー対ウェイド判決が２年前に覆って以降、人工妊娠中絶の権利は民主党にとって最も有力な争点となっている。

パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルによる戦争ほど、年齢やイデオロギー、アイデンティティーによって、民主党を分断した争点はほとんどない。バイデン氏はガザについて長く時間を取り、死亡した人々への同情を示した。しかし、登壇した人々の多くは、ガザでの戦争にほとんど言及しなかった。民主党がこの問題を取り上げても選挙戦で有利になることはほとんどないと考えているのは明らかだった。

マックモロー上院議員（ミシガン州選出）は、保守系シンクタンクがまとめた政権移行計画「プロジェクト２０２５」を模した小道具の本とともに檀上にあがった。この瞬間は、民主党がトランプ氏と、マックモロー議員が呼ぶところの「トランプ政権２期目の共和党の青写真」とを結びつけようとする熱意を反映したものとなった。トランプ氏は否定しているものの、民主党はプロジェクト２０２５について、トランプ政権２期目のアジェンダ（課題）だとしている。マックモロー議員は、翌日も小道具の本が再登場すると約束してステージを降りた。