米副大統領候補討論会、主なポイント

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米副大統領候補討論会で発言するウォルズ氏(右)と、その様子を見つめるバンス氏/Mike Segar/Reuters

米副大統領候補討論会で発言するウォルズ氏(右)と、その様子を見つめるバンス氏/Mike Segar/Reuters

(CNN) 11月の米大統領選に向けて民主党と共和党の副大統領候補によって行われた討論会は、現代の米国政治には珍しく正常な内容だった。

今回の討論会が、大統領選の情勢に変化を及ぼす公算は小さい。共和党の副大統領候補であるJ・D・バンス上院議員(オハイオ州選出)と民主党の副大統領候補ティム・ウォルズ・ミネソタ州知事は互いに友好的で、攻撃の矛先はそれぞれの大統領候補に向けられた。討論は、政策の違いに関する内容がほぼ中心を占めた。

バンス氏は再三、国境の安全対策を巡って民主党大統領候補のハリス副大統領を非難。ウォルズ氏は共和党大統領候補のトランプ前大統領を人工妊娠中絶の権利を巡る政策でこき下ろした。

1日に開催された討論会の主なポイントは以下の通り。

「ペットを食べる」との主張が移民論争の目玉に

移民と国境管理を巡る議論の間、ウォルズ氏はバンス氏による誤った主張を蒸し返した。それはオハイオ州のスプリングフィールドで、ハイチ移民たちが住民たちのペットを食べているという内容だ。

ウォルズ氏は、同州のデワイン知事が一連の爆破予告を受けて州警察をスプリングフィールドに派遣したことに言及。バンス氏が発した言説の影響が出ていると指摘した。

これに対しバンス氏は、「私がスプリングフィールドで最も気にかけているのは米国人の市民だ」と反論した。

スプリングフィールドに住む1万2000~1万5000人のハイチ移民は米国に合法的に入国しているが、バンス氏はその点に触れなかった。ウォルズ氏もこの問題でバンス氏の発言の真偽を追及しなかったが、討論会を開催したCBSの司会者が移民の合法的な地位について説明した。

「1月6日」をかわすバンス氏

この晩の討論会で最も意見が割れたのは、2021年1月6日に発生した連邦議会議事堂襲撃事件並びに前年の大統領選で勝利したとするトランプ氏の誤った主張だった。

「彼(トランプ氏)は20年大統領選で敗れましたか?」。そう質問したウォルズ氏の意図は、トランプ氏本人が認めようとしない現実をバンス氏に認めさせることにあった。

「ティム、私は未来に焦点を当てています」。バンス氏はそう言って答えを切り出した。

これに対しウォルズ氏は、「全く答えになっていない」と言い返している。

程度をわきまえる中西部の美徳

多くの点で今回の副大統領討論会は、典型的な米国人が物議を醸す問題について論争する際の手法を反映していた。相手を中傷せず、前もって準備された巧妙な言い回しはほとんどない。両者共に、個人攻撃には走らないとする明確な指針があった。住宅危機を危機と認め、銃による暴力は減らす必要があるとの考えで両者の見解は一致した。

互いに争う代わりに、バンス氏とウォルズ氏は快く振るまった。それはそれぞれの大統領候補の対立や見当違いの言動は本人たちに特有の問題なのだと印象づけようとする作業に他ならなかった。

討論はほぼ全てが国内問題に焦点を当てる内容だった。CBSの司会者は最初の質問でイスラエルとイランの紛争激化を取り上げたが、ロシアと戦うウクライナへの米国の支援については質問しなかった。

いつになく普通だった討論会は、ここ10年の大統領選討論会で目にしていなかった種類のまともな場面で幕を閉じた。討論を終えた両候補は開始時と同様に握手し、マイクが入らない状況になっても言葉を交わした。会話はその後も続き、やがて双方の妻もそこに加わった。

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