ハイチ移民がペットを食べた説、トランプ氏撤回せず 地元は全面否定
(CNN) 米共和党の大統領候補者ドナルド・トランプ前大統領は16日、ラテン系の有権者を前に行った演説で、オハイオ州スプリングフィールドでハイチ移民が住民のペットを食べている、という根拠のない主張を繰り返した。この主張については地元当局者も州当局者も党派を問わず否定している。
トランプ氏はこの日、フロリダ州ドラルで開かれたタウンホール集会で演説。スプリングフィールドの話を本当に信じているかと聴衆から質問されると、「報道されたことを言っている」だけだと応じ、情報源については「新聞」としながらも、新聞名は明かさなかった。さらに何の根拠もなく、移民が「ほかにも食べるべきではないものを食べている」と主張した。
この日のタウンホール集会はメキシコ人ジャーナリストのエンリケ・アセベド氏が司会を務めた。トランプ氏はヒスパニック系の有権者に食い込んでいるものの、民主党のカマラ・ハリス副大統領の方が依然として優位にある。ただしジョー・バイデン氏が相手だった2020年に比べれば差は小さい。トランプ氏は16日、具体的な内容に関する聴衆からの質問はほとんど無視して、不法移民攻撃に話を切り替える場面も多かった。
根拠のない陰謀論については、オハイオ州を地元とする共和党副大統領候補のJ・D・バンス上院議員も強硬に支持している。これに対して共和党のマイク・デワイン・オハイオ州知事も、スプリングフィールド市長も、警察トップも異議を唱えた。
スプリングフィールドではハイチ系住民に対して匿名の脅迫が相次ぎ、地元当局は文化的多様性をたたえるイベントの中止を強いられた。デワイン知事は9月、問題の主張を「ごみくず」と一蹴し、「事実ではない」と言い切って州警察に学生を保護するよう指示した。