米国で注目を集める大人の失踪、専門家が現象を解説
これらの事案の約半数では、失踪を誘拐か自発的なものかに分類するのに役立つ任意の基準が使用された。このデータによると、事案のうち約95%が家出と分類された。
家出した人の中には、刺激が多すぎることに反応している人もいるかもしれないという。
「毎日毎日神経に負担がかかっていると、いつかは、十分に休息を取り、自分の生活で起きていることを管理できると感じている人と同じ判断を下す認知能力がなくなる」とクック氏。脳に負担がかかりすぎた人は、自分の生活から切り離され始め、最終的には他人に共感する能力を失いかねない。
圧倒される時代
米疾病対策センター(CDC)によると、近年、不安やうつ病の症状を訴える米国成人の割合が大幅に増加している。22年には18歳以上の約5人に1人が2週間の間に不安症状(18.2%)またはうつ病の症状(21.4%)を経験した。
クラーク大学の発達心理学者で心理学の上級研究員であるジェフリー・アーネット氏は不安とストレスは健康に重大な影響を及ぼす可能性があり、普段ならしないようなことをやる気にさせる可能性があると話す。
うつ病は通常、ある種の倦怠(けんたい)感を伴い、何もする気が起きないが、不安とストレスはその逆で、その状態を和らげるために何かをしたいと思わせるという。
専門家によると、不安とストレスはコミュニケーションやセラピー、または薬物療法で管理できる。
アーネット氏によると、不安レベルは18~29歳の人々のほうが特に高く、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行がメンタルヘルスに影響を及ぼしている。クック氏もこれに同意し、ミレニアル世代とベビーブーマー世代の経済格差が一因となっていると指摘した。
不安を有利に利用する
今にもやかんが沸騰するかのように強いストレスを感じるときは、コミュニケーションを優先すべきだという。友人に電話するのもよいかもしれない。
家族や友人、SNSから離れることは、何かがおかしいという合図の可能性がある。
クック氏は、生活を劇的に変えようとしている人は、不要な心配をかけないよう愛する人たちをその決断に巻き込むように努めるべきだと語る。「人間の脳は最悪の方向に向かう」ため、「人々が立ち去る計画を伝えていないと問題になる」
クック氏はまた、緊張を和らげるためにセラピストに相談することをすすめている。CDCによると、呼吸法、運動、日記などは誰もが実践できる、一貫した緩和方法だ。
アーネット氏はストレスの原因を特定できれば、ストレスと不安をうまく利用して自分の利益にすることができると主張する。「不安は動機付けとなるので、建設的に利用することは可能だ」