米ロス山火事、右派メディア司会者らが被災支援の引き留め求める 「リベラル」の責任と主張
ニューヨーク(CNN) 米カリフォルニア州ロサンゼルスで発生した大規模山火事を巡り、右派メディアの有力な司会者らが連邦政府に対して被災者支援の引き留(と)めもしくは条件付きでの提供を要求している。被害がここまで拡大し、対応も後手に回ったのは州の政策に原因があるというのがその理由だ。
消防士らの消火活動によって現場の火災が徐々に抑制され、数千人の住民が焼け落ちた自宅へ戻ってくる中、トランプ次期大統領を支持する司会者らは、州と地元当局者らを激しく非難。当局らの「ウォーク(政治的に覚醒して社会正義を実現しようとする考え方)」的政策が災害につながったと主張した。
FOXニュースは政治的手法を前面に押し出し、カリフォルニア州の進歩的な価値観を攻撃した。番組司会者を務めるショーン・ハニティー氏は14日夜、視聴者に向け、カリフォルニア州には連邦政府の資金を1ドルたりとも受け取る資格がないと強調。同州の掲げる移民政策と、森林の管理態勢の不備を理由に挙げた。
同僚のジェシー・ワターズ氏は、カリフォルニア州の所得税率の高さを踏まえれば、追加の資金は必要ないはずだと提言。その上で、現地の当局者らが税金を無関係の事案につぎ込んでいると糾弾した。
「ロサンゼルスは消防士よりもホームレスの方に金を使っているが、どちらの問題も悪化の一途をたどっている。新型コロナ対策費の550億ドル(約8兆6000億円)も無駄にした。どぶに捨てたのだ。高速鉄道にも200億ドルかけたが、何も進んでいない」(ワターズ氏)
ポッドキャスト番組司会者のグレン・ベック氏もカリフォルニア州のホームレスの多さや、山火事拡大につながった強風への準備が不十分だったことに言及。ニューサム州知事を始めとする指導者らが気候変動ではなく自分たちの破滅的な政策によって被害が広がったことを認めないのなら、連邦政府からの資金援助には厳格な条件を設けるべきだと主張した。
科学者らは今週、山火事の範囲が爆発的に広がった原因として気候変動に言及。現地の気象条件が例年以上に乾燥していたため山火事の勢いが増したと指摘していた。
この他、FOXニュースのローラ・イングラム氏は、カリフォルニア州が支給された資金を適切に分配できるのかどうか疑問を呈した。トミー・タバービル上院議員とのインタビューの中で同氏は資金について、ニューサム知事やロサンゼルスのバス市長の友人及び彼らと政治的なコネを持つ、もしくは同じ環境課題を掲げる人々に流れるだろうと予測。国民が納めた税金の使途に関して、「彼らには一切信用が置けないと考えている」と語った。
今回の山火事での焼失面積は、15日午後の時点で1万6000ヘクタールを超えた。死者は少なくとも25人に上っている。一部の共和党議員からは、民主党の州当局者による「重大な管理不行き届き」があったとして、公聴会での調査を求める声が上がっている。