従業員数百人がワシントン・ポスト紙の行方に危機感、オーナーのベゾス氏に介入求める書簡
ニューヨーク(CNN) 米紙ワシントン・ポストからの相次ぐ人材流出を受け、400人あまりの従業員が同紙オーナーのジェフ・ベゾス氏に異例の書簡を送り、同紙の方向性に危機感を示して介入を求めた。CNNは15日、この書簡を入手した。
従業員らはベゾス氏に対し、米首都ワシントンにある編集局を訪問して経営陣と面会するよう求めている。ベゾス氏が編集局に姿を見せることはほとんどない。
「最近の経営陣の判断は、本紙の品位について読者に疑念を抱かせ、透明性の伝統を断ち切り、優秀な同僚を退社に追い込み、さらなる退社も差し迫っている」と書簡では指摘。同紙発行人で最高経営責任者(CEO)のウィリアム・ルイス氏の名指しはしなかったものの、経営陣に対する従業員の信頼が失墜している現実を強くうかがわせた。
アマゾン創業者のベゾス氏はワシントン・ポストの黒字転換を目指し、1年ほど前にルイス氏を起用した。しかし自身はほとんど経営にかかわっていない。
従業員の多くは、特に経営面に関してベゾス氏の介入を求めている。
書簡には、ダン・バルツ氏のような大物特派員も名を連ねた。
昨年の大統領選挙をめぐっては、編集局が予定していた民主党のカマラ・ハリス氏支持表明がベゾス氏の判断で阻まれたことについて「オーナー特権」だったと指摘。支持表明しなかったことに抗議して、何十万もの読者が購読契約を解約したとしている。
その上で、「競争力を保ち、失われた信頼を回復し、開かれたコミュニケーションに基づく経営陣との関係を再構築すること」が重要だと訴え、「我々には信頼できる明確なビジョンが必要だ」と主張している。