米ウクライナ首脳会談で激しい応酬、ゼレンスキー氏は退出を命じられる 何が起きたのか
(CNN) トランプ米大統領が28日、大統領執務室にウクライナのゼレンスキー大統領を迎えて行った首脳会談で、激しい応酬が発生した。険悪なやり取りが公の場で展開されるのは異例で、米国の今後のウクライナ支援を巡る非常に不透明な状況が浮き彫りになった。
トランプ氏とバンス副大統領は、米国の支援に十分な感謝の意を示していないとして、声を荒げてゼレンスキー氏を非難した。本格侵攻から3年以上が経過する中で、ゼレンスキー氏がロシアとの和平合意の妨げになっているとも批判した。
やり取りの内容は:トランプ氏は「あなたの今の立場はそれほど良くない。非常に悪い立場に自らを追い込んでいる」と発言。「現状、あなたには交渉カードがない。我々と一緒ならカードが手に入る」とも述べた。
これに対し、ゼレンスキー氏は「私はカード遊びをしているわけではない」と反論した。
さらなる応酬が続いた後、トランプ氏は「あなたは数百万人の命でギャンブルをしている。あなたがやっているのは、第3次世界大戦をギャンブルにすることだ」と声を荒げた。
主催者である米国側に「失礼」だとして、バンス氏がゼレンスキー氏を批判する場面もあった。
トランプ氏はさらに「あなたの振る舞いからはそれほど感謝しているように見えない」と続け、バンス氏はゼレンスキー氏に「一度でも『ありがとう』と言ったことがあるのか」と問いかけた。
会談後:ホワイトハウスの当局者によると、この応酬の後、両首脳は別々の部屋に入り、トランプ氏はウクライナ側に退出を命じた。ウクライナ側は抗議し、協議の継続を望む考えを表明。予定されていた共同記者会見は中止になり、ゼレンスキー氏は黒のSUV(スポーツ用多目的車)でホワイトハウスを後にした。ウクライナのレアアース(希土類)鉱物へのアクセス供与に関する予定されていた合意には署名しなかった。
トランプ、ゼレンスキー両氏の反応:トランプ氏はインターネット上に、ゼレンスキー氏が「和平の準備ができる」まで再会談はないと投稿した。ゼレンスキー氏はX(旧ツイッター)に「ありがとう、米国。あなた方の支援に感謝する。今回の訪米に感謝する。大統領、議会、そして米国民に感謝する」と投稿。ウクライナ国防省もテレグラムで「私たちにはやるべきことがある。ウクライナに栄光あれ」と反応した。
ロシアの反応: プーチン大統領の特使を務めるキリル・ドミトリエフ氏はXで応酬の様子を収めた動画に反応し、「歴史的」と一言コメント。ロシア国営タス通信の見出しは、ゼレンスキー氏が「割り込んで議論、報道陣に礼を欠く」と伝えた。RIAノーボスチ通信の見出しは「ゼレンスキー氏がホワイトハウスでヒステリー、ウクライナ議会に衝撃」というものだった。
会談前のこの日の出来事:ゼレンスキー氏は超党派で構成される米上院代表団と会談した。協議の焦点は「ウクライナへの継続的な軍事支援や関連する立法措置」、トランプ大統領との間で予定されていた会談、安全の保証だった。ゼレンスキー氏は「上下両院と与野党の揺るぎない支援に感謝している」とも表明した。