米国立科学財団の長官が辞任、トランプ政権からの要求に対処する中
(CNN) 米国立科学財団(NSF)のセスラマン・パンチャナタン長官が24日、辞任したことがわかった。NSFは科学領域全般にわたる発見の促進を担う90億ドル(約1兆3000億円)規模の機関。長官の辞任はNSFが、抜本的な改革を推し進めるトランプ政権と政府効率化省(DOGE)からの要求に対処する中で発表された。
パンチャナタン氏は1期目のトランプ政権で起用され、2020年6月以降、同財団を率いてきた。
同氏は声明で「NSFの重要な使命を推進するために、私はできることすべてをやりきったと確信しており、今こそ新しい指導者にバトンを渡すときだと感じている」と述べた。
また、「今は、国際競争力という点で我が国にとって重大な局面だ」「NSFは、米国の科学的優位性を実現するうえで極めて重要な投資だ。私たちは競争力を失ってはならない」と訴えた。
NSFは今月、総額2億3000万ドルを超える数百件の助成金を取り消すと発表した。取り消す対象には「DEI(多様性、公平性、包摂性)および誤情報/偽情報」に関する研究などが含まれるという。
トランプ政権は今年初め、連邦政府機関に対し、DEIの推進に関連する活動を停止するよう求める一連の大統領令を発令した。
また、多くの連邦機関と同様にNSFも約1500人の人員削減に直面する可能性がある。
NSFは1950年に設立された。助成金が申請された案件の科学的価値を評価し、主に大学などの研究機関に資金を配分することで、人工知能(AI)や宇宙の基本的な仕組みなど、幅広い分野における科学者の理解の促進を任務としている。