トランプ氏が示した貿易戦争の「融和策」、中国国内では嘲笑と不信感

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トランプ米大統領/Alex Brandon/AP via CNN Newsource

トランプ米大統領/Alex Brandon/AP via CNN Newsource

香港(CNN) トランプ米大統領は先ごろ、中国からの輸入品に対する関税を引き下げる可能性に言及し、世界の投資家を喜ばせた。しかし世界第2位の経済大国との貿易戦争を緩和するかに見えたトランプ氏の姿勢は、中国政府の当局者に一蹴され、インターネット上では「怖じ気づいた」と嘲笑されている。

トランプ氏は22日、ホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し、中国製品に対する高関税は今後「大幅に下がる」と発言した。強硬戦術を避けて交渉の場では「感じよく」振る舞うとまで約束し、新型コロナウイルスの起源には触れない考えを言明した。

だが、中国政府は取り合っていない。むしろ、中国に対する関税の全面撤廃をトランプ氏に要求した。

中国商務省の何亜東報道官は24日、報道陣に対し「ことわざにあるように、『鈴をつけた者が鈴を外さねばならない』」と語った。

さらに「一方的な関税の引き上げを始めたのは米国だ。もし米国が本当に解決を望むなら、国際社会や国内の利害関係者の理性的な声に耳を傾け、中国に対する一方的な関税を全面撤廃し、対等な対話を通じて相違を解消すべきだ」としている。

中国の当局者は、両国が協議中だとの情報を否定。トランプ氏は23日、米中両国の当局者が「毎日」貿易協議に臨んでいると記者団に発言したものの、詳細は示していなかった。

協議について問われた中国外務省の郭嘉昆報道官は24日、「すべてフェイクニュースだ」「私の知る限り、中国と米国は関税問題でいかなる協議も交渉も行っておらず、まして合意には至っていない」と述べた。

政府に助言する中国の専門家は、トランプ氏が発言を後退させたのは米国内の圧力に屈したためで、市場をなだめようとする試みだとの見方を示す。専門家らの見方では、中国政府は優位に立っており、トランプ氏との取引を急ぐ必要はない。

北京にある人民大学国際問題研究所の王義桅所長は、数週間にわたり見せかけのポーズと矛盾した発言が続いた後となっては、中国当局はトランプ氏を信用していないと説明した。

王氏はCNNの取材に、「米国内で(トランプ氏に対する)圧力が高まっている。彼の現在の発言の多くは国内の懸念をなだめるのが狙いだ」と述べ、金融市場の下落やインフレ懸念に言及。「今の彼はやや動揺している。ただ、中国は関税(の大幅引き下げ)に関する彼の話を真に受けていない。今日こう言っても明日は別のことを言い、次の日にはまた関税を引き上げるかもしれない。信用できない」と指摘した。

上海の復旦大学米国研究センターの呉心伯所長は、中国は「急いでいない」とし、経済圧力に耐える準備は整っていると述べた。

「早まって協議の申し出に応じるより、まずは少し摩擦を耐え忍ぶ方が有益かもしれない。そうすれば交渉がより円滑になり、中国にとってより有利な結果につながる可能性がある」「我々にはもう少し待つ余裕がある」(呉氏)

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