ローマ法王がレバノン訪問 反イスラム映画の抗議多発する中
(CNN) ローマ法王のベネディクト16世は16日までに、3日間の訪問のため中東レバノンの首都ベイルートに到着した。中東諸国では現在、イスラム教預言者ムハンマドをやゆしたとされる映画に反発する反米デモなどが多発しているが、法王のレバノン訪問は以前から計画されていた。
映画を非難するデモはレバノン北部トリポリでも14日に起き、同国の治安当局筋によると武装集団がレストランを襲撃し、警官の応戦で1人が死亡した。同市でのデモには数百人規模が参加したが、中には約40人の武装集団が紛れ込んでいたという。
法王は14日午後、ベイルートの空港に到着、レバノンのスレイマン大統領らの出迎えを受けた。法王は空港で演説し、「平和の巡礼者、神の友人、人類の友人としてレバノンを訪れた」と強調。その上で、今回訪問の象徴的な意味として、レバノンの国境を超え、いかなる出自や信念にとらわれない平和の巡礼者、神の友人、中東の全ての国家の国民の友人として来たとも語った。
また、さまざまな信仰の信者が平和的に共存するという極めて繊細な問題で平衡状態を保つ見本となっているレバノンの国民を称賛。ただ、この状態は時折、レバノンの調和と優しさとは無関係な党派的、利己的な圧力に屈して弓矢のように切れることがあるとも指摘した。
ムハンマドを中傷したとされる映画を受けた反米デモは中東など多数の国で発生。リビア東部ベンガジでは米領事館が襲撃され、米大使ら館員4人が殺害される事件が起きた。米政府は中東地域での米外交公館の警備を強化している。