脳を溶かすアメーバ感染で10人が死亡 パキスタン
(CNN) パキスタン南部シンド州のカラチで、脳を溶かすアメーバ「フォーラーネグレリア」を原因とする脳髄膜炎の感染が相次ぎ、当局によれば11日までに10人が死亡した。地元当局は水道水の塩素濃度を高めるとともに、住民に注意を呼びかけている。
フォーラーネグレリアは水温の高い淡水湖のほか、塩素消毒が不十分なプールや温めた水道水にも存在することがある。鼻孔を通じて体内に入るとアメーバ性脳髄膜炎と呼ばれる脳の感染症を引き起こし、発症すれば通常は死に至る。
現地からの報道によると、カラチの当局はアメーバの発生源をまだ特定していないが、鼻孔を水ですすぐイスラム教の儀式が原因になっている可能性があるとみて、この儀式には滅菌水を使うよう勧告。「歯を磨いたり、鼻孔をすすいだりする際は特に注意してほしい」と呼びかけている。
カラチ市内900カ所で水を採取して調べた結果、22%で塩素が検出されなかったり濃度が不十分だったことも判明し、塩素濃度を高める措置を講じると発表した。
シンド州知事は、当局の指示に従っていれば安全だと強調し、市民に平静を呼びかけている。
フォーラーネグレリアは米国でも昨年、5人が感染し、死亡している。このうち3人は川で泳ぐなどして感染し、ルイジアナ州の2人は温水を循環させて鼻腔をすすぐ「ネティポット」と呼ばれる洗浄器具を使って感染したとみられている。