メキシコ軍、麻薬組織のリーダー殺害 遺体切断など残虐で知られる
(CNN) メキシコ軍は9日、同国北部で麻薬密売組織「セタス」のリーダー、エリベルト・ラスカノ容疑者(37)を殺害したことを確認した。カルデロン政権が過去6年間展開してきた麻薬組織に対する掃討作戦の中で、最大の成果との見方もある。
軍の発表によると、同容疑者は7日、米国境から約200キロ離れたコアウイラ州の町で殺害された。海兵隊のパトロール部隊が不意打ちを受けた後に銃撃戦になったという。
葬儀会場から武装集団が遺体を盗み出したが、当局はすでに指紋や写真から容疑者本人であることを確認していた。
米国とメキシコは、同容疑者の拘束につながる情報に計700万ドル(約5億6000万円)の懸賞金を出すと表明していた。
ラスカノ容疑者は1991年、麻薬組織と戦う軍特殊部隊に入った。しかしまもなく麻薬組織ガルフに誘い込まれ、その実働部隊セタスの創設メンバーとなった。セタスは数年後に分離し、ガルフなどと激しい縄張り争いを続けてきた。
セタスは現在、国内最大の勢力範囲を持つ麻薬組織とされ、今年5月に49人の切断遺体が橋の上にさらされた事件などへの関与が指摘されている。ラスカノ容疑者の殺害が組織全体に与える影響については、勢力を劇的に弱めるとの見方がある一方、同容疑者はもともと健康状態が悪く、大半の権限を後継者に譲っていたとの情報も入っている。