カナダ、訪米の旅行者に警告 米国境警備局には電子機器検査の権限
(CNN) カナダ政府は、米国への訪問を予定している国民に対して、米国の税関・国境警備局(CBP)には理由を明らかにせずに旅行者の携帯電話やノートパソコン、タブレット端末などの電子機器を検査する権限があると警告している。
カナダ政府はネットで公開されている改定された渡航勧告で、カナダ国民に対して、国境を越える際には綿密な検査を受けることがあると考えるよう促し、これに従わない場合には電子機器の没収や渡航の遅延、米国民以外の入国の禁止といった危険性を伴う可能性があると警告している。
米国の法律の下では、税関・国境警備局(CBP)の職員は検査中に端末のロックを解除するためのパスワードを要求することがある。この要求を拒否した旅行者は電子機器を没収される恐れがあるほか、長時間の遅延に直面する可能性もある。
渡航勧告では、検査を複雑にする可能性のあるリモートファイルの意図しないダウンロードを防ぐために国境を越える前に端末を機内モードにすることを推奨している。
米国への入国をめぐっては電子機器の捜査が行われた事案が複数発生していた。3月にはレバノン人の米ブラウン大学助教が米ボストンの空港でレバノンに強制送還された。同氏の端末からレバノンの武装組織ヒズボラの指導者だったハッサン・ナスララ師の写真やイランの最高指導者の削除された写真が見つかったためだった。
米当局は携帯端末の捜査は国家安全保障上、極めて重要だとの認識を示しているが、人権擁護団体は長年、こうした捜査を批判している。