韓国原発の制御棒関連機器に亀裂、稼働停止 電力供給に不安
ソウル(CNN) 韓国で原子力発電所を運営する企業、韓国水力原子力は9日、同国南西部にある霊光(ヨングァン)原発3号機で原子炉の制御棒を通す案内管の6カ所で微細な亀裂が見付かったと発表した。
制御棒は核分裂の速度を管理する役目がある。韓国の原子力規制当局によると、亀裂は36日間にわたる定期点検のための稼働停止後に発見された。
政府による原因究明調査のため運転は47日間停止する。冬季を迎え、電力供給の新たな不安材料になる可能性がある。
同社の技術管理部門の責任者は、亀裂は深刻なものではなく、放射性物質が漏えいする恐れはないと説明。3号機の停止が韓国の電力供給量にどう影響するのかは不明としながらも、同社は緊急事態に備えての計画の作成に着手したと述べた。
地元の慶熙大学で原子力問題を担当する教授は、予想もしなかった原子炉3基の稼働停止で電力供給が不足することへの強い懸念を示した。
霊光原発では今月初旬、5号機と6号機で部品の偽造問題が発覚して数千点の部品交換に追い込まれ、稼働の停止を強いられていた。韓国政府当局は当時、原子炉2基の停止で電力供給が前例のないレベルでひっ迫する可能性を警告していた。2基は同国の電力供給量のうち約5%を担っていた。
韓国・漢陽大学の原子力担当教授は、今回の亀裂について深刻な問題ではなく、米国や日本など他国の原発でも発見されたことがあると指摘。ただ、韓国政府が推進する原子力関連技術の輸出戦略を損ねる可能性があると述べた。