中東の政治力学に変化 イスラエルとハマスの衝突の影響で
(CNN) イスラエルとパレスチナのガザ地区を支配するイスラム組織ハマスの間で停戦が成立したが、今回の紛争を受けて中東では政治力学に変化が起きつつある。
今回の紛争における「勝ち組」の筆頭は、停戦交渉の仲介役として予想外の手腕を発揮したエジプトのムルシ大統領だろう。大統領はハマスを交渉のテーブルにつかせ、停戦に応じさせるのに必要な影響力を持っていることを世界に示した。また停戦を実現させたことで、アラブ世界や米国に対するさらなる政治的影響力を手にしたと言える。
イスラエルと同国のネタニヤフ首相も勝ち組だ。選挙を数カ月後に控え、ハマスの軍事部門の指導者を殺害しガザの空爆を実施。さらに、「アイアンドーム」と呼ばれる新型の迎撃ミサイルシステムが威力を発揮し、ハマスのロケット弾の迎撃に成功した。
今回の停戦ではハマスの影響力も増大した。「ハマスは従来以上の正統性を獲得した」と、ウッドロー・ウィルソン・センターの中東専門家、アーロン・ミラー氏は言う。今までになくイスラエルに強硬な態度を取り激しい攻撃を加えたことや、ガザに対する経済封鎖緩和の可能性が見えてきたことがその理由だ。