大統領権限強化の布告に法曹界が反発、スト呼びかけも エジプト
カイロ(CNN) エジプトのムルシ大統領が司法の権限を制限し自らの権限を大幅に強化する布告を出したことに対し、同国の法曹界が強く反発。判事組合が全国の裁判所にストライキを呼び掛けるなど、混乱が拡大している。
ムルシ大統領は22日、6月の大統領就任以降に出した大統領令、および新憲法発布までに出す大統領令を司法判断の対象から除外すると発表した。
これに対し、エジプトの最高司法機関である最高司法評議会(SJC)は24日、ムルシ大統領の布告について、「司法の独立に対する前例のない攻撃」と強く批判した。エジプト国営中東通信(MENA)が伝えた。
この布告に反発しているのは法曹界だけではない。エジプトでは各地で布告に反対するデモが相次いでいる。24日朝には、カイロ中心部でデモ隊と警察が衝突。石を投げる数十人のデモ隊に対し、警察は催涙ガスで応戦した。保健省によると、大統領の発表後、カイロで発生した衝突で261人が負傷し、そのうち43人が現在も入院中だという。
エジプト国営テレビによると、カイロの法曹関係の建物の外で同日、デモ隊と政府の支持者らが衝突した。デモ隊と政府の治安部隊との衝突は夕方まで続き、内務省の近くでは警察が催涙ガス弾を発射したり、威嚇射撃を行ったりした。
エジプト国営ナイルテレビによると、エジプトの判事組合が大統領の行動に抗議し、全国の裁判所および検察庁にストライキを呼び掛けたという。
エジプト第2の都市アレクサンドリアやダマンフールの判事らは、追って通知があるまで、すべての法廷審問を延期するとしている。一方、大統領を支持する判事らからは、ストの呼び掛けを批判する声も上がっている。