中国、南シナ海は「自国領」の新旅券発行 ベトナムなど反発
中国が政治や経済、軍事各分野で存在感を高め南シナ海問題で領有権を主張すると共に、アジアは近年、最も対立が目立つ局面に入っているとも分析した。南シナ海には石油、ガスのエネルギー源の埋蔵や魚類資源が豊富とされ、国際的な海上貿易要路ともなっている。
年末で退任する同事務局長は、東南アジア諸国は中国とこれに対抗する米国のアジア重視路線との狭間でどちらにくみするのかを突き付けられていると指摘。ASEANの今年の議長国で親中派のカンボジアが南シナ海問題における対中戦略でのASEANの共同歩調づくりでベトナムとフィリピンの試みを阻止した例にも言及した。
スリン氏は南シナ海問題の悪化は中国内部の変化を反映しているとの見方も表明。指導部交代を踏まえ主権や領土主張を重視せざるを得ない背景や、経済的繁栄の追求、建国の努力が依然続いているとの国民感情が絡んでいるとも説明した。
その上で南シナ海での中国とASEANの紛争防止には島占拠などを放棄させるような法的拘束力を持つ行動規範の作成での合意が最も望ましいと主張。ただ、この合意づくりは、ASEAN地域で政治的論争を解決させるメカニズムの構築が十分でない現状を考慮すれば難航するとの見方も示した。